東京都、自動運転の技術開発・サービス創出支援を拡充

多摩市では自動運転バスの実証実験を行う(イメージ)
 東京都が自動運転技術の開発やサービス創出の支援に乗り出した。企業や大学が実施する実証実験の行政手続きなどを支援するワンストップ窓口を2017年に開設したのに続き、18年度は初めて関連予算を確保し、都も関与する形で実証実験する。自動運転ビジネスの発展を促し、都が抱える渋滞などの交通課題の解決につなげる狙いだ。

 「正直、担当者を増やしてもらいたい」―。都の前林一則政策企画局調整部先端事業推進担当課長はうれしい悲鳴を上げる。都が政府と共同で17年9月に立ち上げた「東京自動走行ワンストップセンター」。反響が大きく、担当者3人ではほぼ手いっぱいだという。

 同センターは自動運転の実証実験を希望する企業などの相談に応じ、煩雑な行政手続きなどを一括で支援する。7月末までに自動車メーカーやベンチャー企業、大学など34団体から延べ266件の相談を受け、8件の実験が実施された。自動運転システムを磨き上げる、自動運転サービスを検証するなどの目的が多いという。

 東京都は渋滞や、高齢者の移動手段の継続確保など複数の交通問題を抱える。公共交通機関の人手不足も深刻化してきた。都はこうした課題の解決に自動運転技術が役立つとみる。

 そこで18年度に初めて自動運転関連施策で予算を付けた。金額は約8400万円。目玉は「ビジネスモデル構築に向けた調査検討」事業で4000万円を振り向けた。自動運転とIoT(モノのインターネット)などの先端技術を組み合わせたビジネスモデルの創出を目指す企業を支援するもので、二つのプロジェクトを選定した。

 一つは日の丸交通(東京都文京区)と自動運転技術ベンチャーのZMP(同)によるタクシー運行。ドライバー不足解消に役立つかどうかや、ITを使った配車サービスなどを検討する。8月27日から千代田区―港区で実験を始める。

 もう一つは神奈川中央交通と、ソフトバンクグループのSBドライブ(東京都港区)による多摩市でのバス運行。高齢化が進む「多摩ニュータウン」で、交通弱者の高齢者にとって自動運転バスが有用な移動手段になり得るかといった観点で検討する。11月に実験を実施する予定だ。

 新技術を使ったサービスの確立にはある程度の時間が必要になる。前林担当課長は「来年度以降も支援事業を実施したい」と話す。関連規制の整備など政府の動きと合わせ、自動運転サービスの実用化は「東京五輪・パラリンピックの20年が一つのめど」と都の土屋卓志政策企画局調整部渉外課統括課長代理は指摘する。

日刊工業新聞2018年8月20日

COMMENT

後藤信之
編集局第一産業部
編集委員

自動運転サービスの完成度を徐々に高め、世界の目が東京に集まる20年に花開かせる―。こうしたシナリオを描ければ理想的。それには企業や都、政府が密に連携した、サービス実現への継続的な取り組みが欠かせない。

関連する記事はこちら

特集