帝人の自動車技術は、軽量化だけじゃない!

帝人モビリティ部門長 帆高寿昌氏

 ―自動車のCASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)の流れをどう認識していますか。
 「当社は複合成形材料や炭素繊維、樹脂などの軽量化ソリューションを持つが、CASEでは軽量化プラスαの提案が求められる。CASEはチャンスととらえており、そうした提案に挑戦していくための組織として4月に『モビリティ部門』を新設した」

 ―具体的に「プラスα」の提案とは。
 「例えば自動運転技術が進むと、車内空間に求められる特性が大きく変わる可能性がある。移動手段としての価値よりも空間の快適さが重視され、家のリビングルームがそのまま移動したような車内空間が必要になるかもしれない」

 ―今年の「人とくるまのテクノロジー展」の帝人ブースでも、快適性や楽しさを具現化した商品の展示が目立ちました。
 「軽量化はもちろん重要だが、乗員が実際にクルマを抱えて重さを量るわけではなく、一般の消費者にはメリットを訴求しにくい。どちらかというとBツーB的発想だ。これに対して快適性や楽しさといった要素は消費者に直接訴求できる」

 ―CASEビジネスでは、BツーC的な発想が一層重要になるということですね。
 「祖業であるファッション分野で培った経験も大いに生かせると考えている。多機能を追求するとクルマは重くなりがちだが、当社には軽量化ソリューションがある。快適性や楽しさといった新しい価値を、重たくせずに提案できる強みを打ち出していきたい」

 ―取引先との関係性も変わってきそうです。
 「単に完成車メーカーや部品メーカーに素材を供給するだけでなく、当社自らクルマの将来を考え、技術革新を先取りした提案をする『自動車部品供給パートナー』として、新たな価値を創造していきたい。自前の商材にこだわらず、ないものは外部との連携で実現する。江戸時代の『出島』のような機能を我々の部門で担い、次世代のクルマづくりに貢献していきたい」
帝人モビリティ部門長・帆高寿昌氏

(2018年7月25日)

斉藤 陽一

斉藤 陽一
07月25日
この記事のファシリテーター

「100年に一度」とも言われる自動車産業の大変革の時代。CASEの普及で、人とクルマの関係性や距離感も大きく変化する。快適さや楽しさといった新たな価値の訴求は、若者のクルマ離れの傾向に歯止めをかける可能性もありそうだ。6月に創業100周年を迎えた帝人の新たな挑戦に期待したい。

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古川 英光
古川 英光
07月25日
まさにこれは共創イノベーション的発想です。「自前の商材にこだわらず、ないものは外部との連携で実現する。江戸時代の『出島』のような機能を我々の部門で担い、次世代のクルマづくりに貢献していきたい」
  

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