「防災省」構想も、どうなる復興庁の後継組織

絶えない自然災害、新組織に重い課題

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大震災から7年。宮城県石巻市の市街地が輝きを取り戻した
 2011年3月11日に起きた東日本大震災からの復興に向け、20年度は大きな節目の年になる。21年3月末には復興庁が廃止。また20年夏に開かれる東京五輪・パラリンピックは「復興五輪」と銘打ち、復興を成し遂げつつある被災地の現状を世界に発信する。ただ、現時点で震災からの復興は道半ばだ。政府・自治体は急ピッチで復興作業を進めるほか、復興庁廃止後の21年度以降の取り組みをリードする“ポスト・復興庁”の検討を急いでいる。

 東日本大震災からの完全復興は遠い。被災者向けの災害公営住宅の建設は計画する戸数がほぼ完成した一方、復興道路・復興支援道路の完成には時間がかかる。復興庁が7月にまとめた資料では、災害公営住宅の建設は計画戸数約3万戸が19年3月にも完成すると見通す。

 ただ被災地の発展基盤となる復興道路・復興支援道路については計画に対する進捗(しんちょく)率が6割程度。政府は「復興道路、復興支援道路などは、キチンとこの2年間で完成させていく、いかねばならないという決意でやっている」(吉野正芳復興相)とするが、復興庁廃止までに完成するかは不透明だ。

 復興庁の後継組織については、大阪北部地震や西日本豪雨が発生したことで、政府・与党などから、災害時に司令塔機能を持つ防災省や防災庁の設置を求める声が相次ぐ。

 「災害時の初期対応と災害からの復興・復旧は別もの」(復興庁)との見方があるものの、何らかの後継組織が必要と見る向きが強まる中で、今後活発な議論が期待される。

 産業の再生では、大規模ロボット実証研究拠点「福島ロボットテストフィールド(RTF)」の一部施設が開所した。19年度末に全施設オープンの予定。震災や原発事故で被害を受けた福島県の浜通り地域などへの産業集積を目指す「福島イノベーション・コースト構想」が具体的な形になってきた。

 被災地の生産設備はほぼ復旧し、岩手、宮城、福島の被災3県の製造品出荷額などは震災前の水準まで回復。津波の被害を受けた農地の89%が作付け可能に、水産加工施設は95%で業務を再開した。

日刊工業新聞2018年8月15日

COMMENT

この2カ月だけでも複数の甚大な自然災害に見舞われた日本列島。途絶えることがない自然災害にいかに対処し、早期の復興を果たすか。ポスト復興庁に託される課題は極めて重い。 (日刊工業新聞社・碩靖俊)

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