人材派遣業が語る製造業向けエンジニアの育て方

メイテック・渡辺真司執行役員インタビュー

 製造業向けのエンジニア派遣サービスを行っているメイテックは、エンジニアのキャリアアップ支援に力を注いでいる。企業の人材不足が叫ばれる中、採用が難しいとされる理工系人材に限定し、新卒新入社員を例年500人以上採用。優秀なエンジニアを派遣することで、派遣先の企業からも厚い信頼を得ている。キャリアサポート部門担当の渡辺真司執行役員(入社研修サポートセンター長)に育成の工夫や今後の展開について聞いた。

 ―新卒採用に注力する理由は何でしょうか。

 「エンジニアを目指す人たちを支援していきたいと、40年ほど前から実施している。2000年代に入って、派遣切りなど派遣エンジニアに対し風当たりが強い時もあった。当社はエンジニアの育成が第一で、派遣はそのための手段と考えている。研修プランをしっかりと固め、少しずつ改変を加えながら、研修制度をつくり上げてきた」

 ―どのような育成方法を。

 「新入社員は約2カ月間、人間力と技術の研修をそれぞれ1カ月間受ける。人間力では研修を通じ、信頼や協働などのスキルを身につける。技術力では独自のスキルマップを基に、キャリアプランを組み立てる。航空・宇宙や自動車・輸送機器など、興味のある分野のゴールに向け、必要となる細分化されたスキルを段階ごとに獲得していく。分野ごとにテストを受け、獲得スキルをマップに書き込んでいくことで、現状を可視化。目標に向け必要となる技術を補完していく」

 ―毎年多くの新入社員がいる中、育成や定着の工夫はありますか。

 「独自のベストマッチングシステムにより、顧客企業からの依頼案件とエンジニアのスキルを掛け合わせ、最適なエンジニアの派遣を行っている。また通常の派遣会社だと、エンジニアの人間関係は派遣先での構築が中心になる。当社では、配属先の企業には9割方、先輩社員がいる。また各地の営業所ごとに、定期的な面談の機会を設けている。当社内でのコミュニケーションを通して、自身のスキルを見つめ直す“教え合う研修”も進める。そのほか、eラーニングなど自己啓発型と会社主導型研修を豊富に設け、常にキャリアアップできる環境を用意している」

 ―今後はどのような対応を。

 「人工知能(AI)や電気自動車など、派遣市場が必要とする人材も変化している。今年度はトレンド技術に関しての研修も試験的に導入した。今後は時世に合った人材育成も重要となるため、顧客のニーズに沿った研修も取り入れていく。改良を重ねながら、今後もキャリアアップ支援を進めていきたい」

メイテックキャリアサポート部門担当執行役員・渡辺真司氏

(聞き手=大串菜月)

日刊工業新聞2018年8月7日

日刊工業新聞 記者

日刊工業新聞 記者
08月12日
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売り手市場が続く中、中小企業の人材の獲得は深刻。そんな状況でメイテックが多くの新卒を獲得できる理由のひとつに、成長が可視化できるキャリアアップシステムの存在がある。今年度に同社へ新卒で入社した学生にその理由を聞くと「多くの業種に興味を持ちながら、チャレンジをしていけるから」との答え。先の長い若者だからこそ、自分が何を得ることができるのかという問いに対する明確な回答は、入社動機となる。
(日刊工業新聞社・大串菜月)

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