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高校球児はプールに入れない?

今ではトレーニングの一環、「常識を疑え」
高校球児はプールに入れない?

間もなく「第100回記念大会」

 殺人的な猛暑が日本列島を襲う中、今年も甲子園球場を舞台に全国高校野球選手権大会が始まる。連投で肩を酷使するピッチャーや炎天下のグラウンドを転がる白球を追う選手を、生徒は灼熱(しゃくねつ)のスタンドで声をからして応援。大人は冷房が効いた部屋で「これこそが青春!」とテレビ観戦を決め込む。

 この伝統行事も「第100回記念大会」を節目に様変わりする。主催者は、応援の生徒にもスポーツドリンクを用意。観客にも「熱中症にご注意を」と水分補給を呼びかける。

 1970年代に高校生だった世代にとって「水を飲むな。体が弱る」が常識。このため、バッテリーは「ロード」と称して練習を抜け出し、公園の水道管で『鉄管ビール』を隠れて飲んだものだ。野手は校庭を飛び出したボールを追うふりをし、田んぼの水路に顔を突っ込んだ。

 軍隊経験がある当時の親や監督は、行軍の際に水を飲むのを禁じられた。精神論ばかりでなく、実際に異国の地で水を飲めば赤痢に感染する危険があった、と聞いた。

 今では笑い話だが、野球部員は「肩が冷える」との理由で水泳の授業も免除されていた。今ではトレーニングの一環だ。「常識を疑え」―。かの天才・アインシュタインの名言でもある。
日刊工業新聞2018年8月3日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
中学時代に野球部だったが、もう喉が渇いてどうしようもなく田んぼの水を飲んだことも。先輩から後輩へ、今でいう「いじめ」は日常茶飯事、ちょっとヤバい系の街のおっさんが臨時コーチで来ていた。もう牧歌的な時代だったというか。「教育」か「スポーツ」か、はいつも議論されることだが、偉大な指導者の常識と非常識は紙一重かも。

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