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富士ゼロックス新社長が語る、事務機市場の勝ち筋

玉井光一氏、カギはスマートワークイノベーション
富士ゼロックス新社長が語る、事務機市場の勝ち筋

富士ゼロックス公式ページより

 《周囲の期待通り、副社長から社長へ昇格。足元では富士フイルムと米ゼロックスの統合問題が停滞し、富士ゼロックスの経営への影響が懸念されている》

 「個人的に思うところはたくさんあるが、この問題はあくまで株主同士のやりとりで、(両社から出資を受ける)立場上、安易な発言はできない。ただ、仮に統合が破談になっても当社単独で成長はできるとみている」

 《事務機器事業は成熟化が進み、さらにペーパーレス化も進展。事業環境は厳しさを増している》

 「確かに成長産業と言い切れない面もある。ただ、2017年度の世界市場は前年度比約1%増加し、下落傾向に歯止めがかかってきた。成長軌道に乗せるためには複合機だけでなく、それ以上の価値を提供する必要がある。キーワードはSWIだ」

 《SWIとはスマートワークイノベーション。人工知能(AI)などを駆使し顧客の業務改善を支援する》

 「例えば金融機関では帳票書類の事務作業の効率化が大きな課題となっていた。当社の光学式文字読み取り装置(OCR)を使えば文字の読み取りが高精度となり、効率化が実現できる。SWIには多様なサービスがある。顧客の悩みを改善できる価値として展開していきたい」

 《休日はガーデニングを楽しみ、リフレッシュする。激変する市場環境の中、経営者としては、どのような花を咲かせるのか。腕の見せどころだ》
 (文=杉浦武士)
【略歴】玉井光一(たまい・こういち)03年(平15)富士写真フイルム(現富士フイルム)入社。06年執行役員、16年副社長、17年富士ゼロックス副社長。大分県出身、65歳。6月20日就任。

玉井光一氏

日刊工業新聞2018年7月31日
梶原洵子
梶原洵子 Kajiwara Junko 編集局第二産業部 記者
統合問題の話題が大きくなりがちですが、富士ゼロックスは業界に先駆けて市場環境に合わせた事業変革を進めてきました。最近では、駅構内にワークスペースを設置し、話題になりました。

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