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【求人】日刊工業新聞デジタル始動、産業メディアの可能性とは?
日刊工業新聞社では今年4月にデジタルメディア局が新設されました。2015年に外部拡散型のニュースサイト「ニュースイッチ」を立ちあげ、有料の「日刊工業新聞電子版」と合わせ、メディア事業を拡大してきました。新しい組織では、日刊工業新聞が持つさまざまなアセット(資産)とデジタルを掛け合わせ、ユーザーロイヤルティが高いメディアサービスの展開を目指しています。最初の取り組みとして、今年秋をめどに新しいメディアの立ち上げを予定しており、同社デジタルメディア局局長の明豊をホスト役に、株式会社54代表の山口豪志氏、株式会社ネオラボ執行役員の東出康義氏と、これからの産業・経済メディアについて話し合いました。
明 日刊工業新聞社は今年で創刊103年目の“伝統的な新聞社”です。信頼性は高い一方で、デジタル時代に新たなメディア価値を提供しきれているとは言えません。自分は入社以降、新聞記者一筋でしたが、この4ー5年は新聞・ニュースメディアの将来像をずっと考えてきました。日刊工業新聞は比較的、企業の一次情報(ニュース)が多いことが特徴です。紙の新聞というパッケージメディアでは、コンテンツの価値は定性的なものに包み込んでくれます。しかしデジタルの世界では一次情報は埋没しやすい。今回の新しいメディアで、BtoBの良質なコンテンツを顕在化させ、読者と企業をつなげていくプラットフォームにしたい、と思っています。
山口 新しいメディアとはどのようなイメージですか。
東出 ネオラボはシステム開発やマーケティングなどでお手伝いさせてもらっていますが、日刊工業新聞電子版のドメイン(https://www.nikkan.co.jp/)内に企業向けオウンドメディアページを作って運用します。企業が自分たちでオウンドメディアを運用する場合、企画・編集力の不足、人的リソースの不足、SEOなど効果が出るまでに時間がかかる、などの課題があります。メディア運用とコンテンツ作成の手間を大幅に省くことができることに加えて、ここが大きなポイントですが、日刊工業新聞さんの編集権が入ることで、メディアとしての信頼性、中立性も担保されます。
明 オウンドメディアを進化させ、企業と日刊工業新聞社が一緒に運営する「ジョイントメディア」というコンセプトを掲げます。ニュースコンテンツに関しては過去記事を含め相当のストックと更新頻度があります。一方、企業が発信したいブランドコンテンツ(広告など)ですが、海外ではニューヨークタイムズが早くから専門部署を立ちあげたり、日本でも今年、読売新聞が外部と連携した企業のコンテンツマーケティングを支援する新組織を立ちあげました。
東出 広告であってもしっかり取材をした良質なコンテンツは目にとまり、読まれます。企業取材のノウハウや人脈が豊富な日刊工業新聞がやるオウンドメディアだからこそ価値が出てくると思います。専門記者の視点まで入った個別企業の一覧性メディアは、あるようでありませんから。
明 日刊工業新聞は企業との接点という意味では、国内で日経グループに次いで多いメディアだと思います。地域の中堅・中小企業のカバレッジでは日経をしのぐのではないでしょうか。全国で数百単位の記者群(経験者も含む)がいることが大きなアドバンテージです。ただ日経グループや大手のプラットフォーマー、新興のニュースメディアと正面からぶつかるつもりはまったくありません。
山口 これまで日刊工業新聞社さんといろいろお付き合いさせて頂いてきましたが、新興メディアにありがちな浮ついたキャッチフレーズなどで釣るのではなく、メディアとしてのモラルを大切にしてもらいたいですね。その実直さは強みになります。一方で記者にしろ、営業にしろもっと思考の柔軟さは必要だと感じます。新聞社だからこそ、ウェブメディアを活用することで、できることがありそうです。
例えば、記者はまず一次情報を追いかける。その情報を自社のウェブメディアに掲載して、アクセスが多い記事はさらに深堀り取材をした上で、自らの意見も発信する。紙の新聞では難しい読者との双方向コミュニケーションが、オンラインでもオフラインの場でも求められるようになります。その時、記者個人個人がメディア化、見える化していくことが欠かせないでしょう。大手新聞社でもそれはできていない。
明 ジョイントメディアでもその企業の担当記者が、編集責任者として登場する仕組みを考えています。ニュースイッチでも記者の顔やプロフィルが載っているので、初めて会う方からも「存じ上げています」と言われたりします。最初のコミュニケーションがスムーズだったり、取材がしやすくなるもの確かです。一方で、新聞社には組織ジャーナリズムがまだ根付いていて、チームだからこそつかめるニュースがあることも事実です。個人のメディア化を重視しつつ、組織の良さをいかに残していくかはこれからの課題ですね。東出さんがこれまでに成功例として印象に残ったウェブメディアはありますか。
東出 弊社グループが運営する人材・人事関連ニュースに特化した「HR NOTE」のチームは成功したと思います。サイト規模は初月から2年半弱で数百倍ほど成長しました。これは編集長の意志の力が大きかったですね。「このメディアはこうあるべきだ」という情熱が時に意固地に見えるほどにありました。それにメンバーも付いていったことでファンが獲得できたと思います。
明 メディア運営においてファンの獲得は欠かせない要素です。山口さんはクックパッドに創業期から参加していました。ファン作りをどのように成功させたのでしょうか。
山口 「論語」と「そろばん」のバランスにつきますね。論語は「クックパッドはこうあるべきだ」という意志を貫くこと。そろばんは広告の顧客を獲得してお金を稼ぐことです。クックパッドではどんな顧客であっても広告が取れればよい、というスタンスはNGでした。例えば顧客の候補に矯正下着メーカーがありましたが、クックパッドは利用者が食事をしたい時にアクセスするメディアなので、そぐわないと判断して断った。論語とそろばんの切磋琢磨があったからこそファンが付きました。
明 山口さんは営業マンとして、そろばんの部分でクックパッドの成長に大きく貢献されました。その源泉はどこにあったのでしょうか。
山口 意志の強さと自負しています。目に見える敵は敵ではなく、敵は自分自身の甘えにあり、それを超えようとする意識が常にありました。それとクックパッドの営業先として出会ったある企業の創業者の教えも大きかったです。営業マンには売るモノが三つあると学びました。一つ目は自分、二つ目は会社、そして最後に商品です。この三段論法で営業マンが人間関係を構築してこそうまくいきます。スゴい商品があるだけでは信頼は得られず、商品も売れません。
明 ウェブサービスだからこそ泥臭い営業が重要、というのはよく分かります。東出さんは最近のウェブメディアと広告の関係をどのように見ていますか。
東出 最も強く感じるのはオンラインのデジタルマーケティングだけでは顧客の獲得が完結できなくなっていることです。オフラインとの連携は不可欠です。その点でセミナーやイベントなどオフライン事業を多く持っている日刊工業新聞は優位ですね。ジョイントメディアの運用顧客を獲得する上でも、イベント出展などのオフラインの場も提供できる体制は強みになるはずです。またキュレーションメディアに疲れたユーザー(読者)は、バーティカル(専門性)な興味のある分野へ情報収集を特化させていく傾向にあり、ジョイントメディアは個人やコミュニティーの興味を具体的な行動につなげるハブ(中心点)になるはずです。
明 私たちがユニークなポジションにいるのは間違いありません。ただ日刊工業新聞にデジタル人材がまだ多いわけではありません。存在感のあるデジタルメディアを一緒になって作っていってくれる人にぜひ加わって欲しいですね。
日刊工業新聞社デジタルメディア局では、デジタルメディア関連事業に携わって頂ける方々を募集します。対象は経験者(社員・契約社員)または学生インターン(アルバイト)。職種は以下(それぞれ若干名)。
●デジタルメディア記者・編集
●ウェブマーケティング・営業
●システムエンジニア・運用
●イベント企画・運営
問い合わせはこちらから
<デジタルメディア局社員紹介>
●昆梓紗
●矢野貴紀
明 日刊工業新聞社は今年で創刊103年目の“伝統的な新聞社”です。信頼性は高い一方で、デジタル時代に新たなメディア価値を提供しきれているとは言えません。自分は入社以降、新聞記者一筋でしたが、この4ー5年は新聞・ニュースメディアの将来像をずっと考えてきました。日刊工業新聞は比較的、企業の一次情報(ニュース)が多いことが特徴です。紙の新聞というパッケージメディアでは、コンテンツの価値は定性的なものに包み込んでくれます。しかしデジタルの世界では一次情報は埋没しやすい。今回の新しいメディアで、BtoBの良質なコンテンツを顕在化させ、読者と企業をつなげていくプラットフォームにしたい、と思っています。
山口 新しいメディアとはどのようなイメージですか。
東出 ネオラボはシステム開発やマーケティングなどでお手伝いさせてもらっていますが、日刊工業新聞電子版のドメイン(https://www.nikkan.co.jp/)内に企業向けオウンドメディアページを作って運用します。企業が自分たちでオウンドメディアを運用する場合、企画・編集力の不足、人的リソースの不足、SEOなど効果が出るまでに時間がかかる、などの課題があります。メディア運用とコンテンツ作成の手間を大幅に省くことができることに加えて、ここが大きなポイントですが、日刊工業新聞さんの編集権が入ることで、メディアとしての信頼性、中立性も担保されます。
明 オウンドメディアを進化させ、企業と日刊工業新聞社が一緒に運営する「ジョイントメディア」というコンセプトを掲げます。ニュースコンテンツに関しては過去記事を含め相当のストックと更新頻度があります。一方、企業が発信したいブランドコンテンツ(広告など)ですが、海外ではニューヨークタイムズが早くから専門部署を立ちあげたり、日本でも今年、読売新聞が外部と連携した企業のコンテンツマーケティングを支援する新組織を立ちあげました。
東出 広告であってもしっかり取材をした良質なコンテンツは目にとまり、読まれます。企業取材のノウハウや人脈が豊富な日刊工業新聞がやるオウンドメディアだからこそ価値が出てくると思います。専門記者の視点まで入った個別企業の一覧性メディアは、あるようでありませんから。
明 日刊工業新聞は企業との接点という意味では、国内で日経グループに次いで多いメディアだと思います。地域の中堅・中小企業のカバレッジでは日経をしのぐのではないでしょうか。全国で数百単位の記者群(経験者も含む)がいることが大きなアドバンテージです。ただ日経グループや大手のプラットフォーマー、新興のニュースメディアと正面からぶつかるつもりはまったくありません。
山口 これまで日刊工業新聞社さんといろいろお付き合いさせて頂いてきましたが、新興メディアにありがちな浮ついたキャッチフレーズなどで釣るのではなく、メディアとしてのモラルを大切にしてもらいたいですね。その実直さは強みになります。一方で記者にしろ、営業にしろもっと思考の柔軟さは必要だと感じます。新聞社だからこそ、ウェブメディアを活用することで、できることがありそうです。
例えば、記者はまず一次情報を追いかける。その情報を自社のウェブメディアに掲載して、アクセスが多い記事はさらに深堀り取材をした上で、自らの意見も発信する。紙の新聞では難しい読者との双方向コミュニケーションが、オンラインでもオフラインの場でも求められるようになります。その時、記者個人個人がメディア化、見える化していくことが欠かせないでしょう。大手新聞社でもそれはできていない。
明 ジョイントメディアでもその企業の担当記者が、編集責任者として登場する仕組みを考えています。ニュースイッチでも記者の顔やプロフィルが載っているので、初めて会う方からも「存じ上げています」と言われたりします。最初のコミュニケーションがスムーズだったり、取材がしやすくなるもの確かです。一方で、新聞社には組織ジャーナリズムがまだ根付いていて、チームだからこそつかめるニュースがあることも事実です。個人のメディア化を重視しつつ、組織の良さをいかに残していくかはこれからの課題ですね。東出さんがこれまでに成功例として印象に残ったウェブメディアはありますか。
東出 弊社グループが運営する人材・人事関連ニュースに特化した「HR NOTE」のチームは成功したと思います。サイト規模は初月から2年半弱で数百倍ほど成長しました。これは編集長の意志の力が大きかったですね。「このメディアはこうあるべきだ」という情熱が時に意固地に見えるほどにありました。それにメンバーも付いていったことでファンが獲得できたと思います。
明 メディア運営においてファンの獲得は欠かせない要素です。山口さんはクックパッドに創業期から参加していました。ファン作りをどのように成功させたのでしょうか。
山口 「論語」と「そろばん」のバランスにつきますね。論語は「クックパッドはこうあるべきだ」という意志を貫くこと。そろばんは広告の顧客を獲得してお金を稼ぐことです。クックパッドではどんな顧客であっても広告が取れればよい、というスタンスはNGでした。例えば顧客の候補に矯正下着メーカーがありましたが、クックパッドは利用者が食事をしたい時にアクセスするメディアなので、そぐわないと判断して断った。論語とそろばんの切磋琢磨があったからこそファンが付きました。
明 山口さんは営業マンとして、そろばんの部分でクックパッドの成長に大きく貢献されました。その源泉はどこにあったのでしょうか。
山口 意志の強さと自負しています。目に見える敵は敵ではなく、敵は自分自身の甘えにあり、それを超えようとする意識が常にありました。それとクックパッドの営業先として出会ったある企業の創業者の教えも大きかったです。営業マンには売るモノが三つあると学びました。一つ目は自分、二つ目は会社、そして最後に商品です。この三段論法で営業マンが人間関係を構築してこそうまくいきます。スゴい商品があるだけでは信頼は得られず、商品も売れません。
明 ウェブサービスだからこそ泥臭い営業が重要、というのはよく分かります。東出さんは最近のウェブメディアと広告の関係をどのように見ていますか。
東出 最も強く感じるのはオンラインのデジタルマーケティングだけでは顧客の獲得が完結できなくなっていることです。オフラインとの連携は不可欠です。その点でセミナーやイベントなどオフライン事業を多く持っている日刊工業新聞は優位ですね。ジョイントメディアの運用顧客を獲得する上でも、イベント出展などのオフラインの場も提供できる体制は強みになるはずです。またキュレーションメディアに疲れたユーザー(読者)は、バーティカル(専門性)な興味のある分野へ情報収集を特化させていく傾向にあり、ジョイントメディアは個人やコミュニティーの興味を具体的な行動につなげるハブ(中心点)になるはずです。
明 私たちがユニークなポジションにいるのは間違いありません。ただ日刊工業新聞にデジタル人材がまだ多いわけではありません。存在感のあるデジタルメディアを一緒になって作っていってくれる人にぜひ加わって欲しいですね。
人材募集要項
日刊工業新聞社デジタルメディア局では、デジタルメディア関連事業に携わって頂ける方々を募集します。対象は経験者(社員・契約社員)または学生インターン(アルバイト)。職種は以下(それぞれ若干名)。
●デジタルメディア記者・編集
●ウェブマーケティング・営業
●システムエンジニア・運用
●イベント企画・運営
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<デジタルメディア局社員紹介>
●昆梓紗
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