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「セブンドーナツ」は、なぜべちゃっとしない食感なのか?6億個が売れる理由

広がるセブン―イレブンの“コーヒー経済圏”(後編)

再び富士電機と組む。湿度がコントロールでき、デザイン性にも優れた什器を開発


 そして完成度の高い什器を開発するために「コンペをしよう!」ということに。導かれるように、コーヒーマシンでも協業した富士電機と組むことになる。富士電機の砂山恵子課長補佐は、「セブンさんからこういうドーナツを作りたいというご提案がありました。そこで快適な温度を維持することで、結果として湿度も保てるような什器を開発することになった」と振り返る。

 「セブンー富士電機」コラボ第2弾によるドーナツ什器の仕組みはこうだ。まず室温を感知して什器内の温度を安定させる。厳密には加湿したり乾燥させたりするのではなく、湿度をコントロールし、食感、おいしさを実現した、という方が正確だ。セブンイレブンの和瀬田執行役員は「性能、デザインともよかった」と富士電機の製品を高く評価。富士電機の秋本哲課長も「ファストフードの什器を手がけるのは初めてだったが、カウンターに置いてもなじむようデザインを考慮した」と話す。

  入れ立てコーヒーもドーナツとの相乗効果で販売が伸びる

 現在販売されているドーナツは6種類。「オールドファッション」や「もちもちいちごリングドーナツ」、「ホイップドーナツ」、「ふんわりリングドーナツ」などで、什器に入るドーナツの個数は約70個にも及ぶ。価格は税込み100円から110円で、市場で支持されている一般的な商品を提供している。2015年5月末時点で、ドーナツの導入店は約7200店、今年8月末には全店で販売される予定だ。全店導入後の販売目標が、冒頭の「6億個」というとてつもない数字に積み上がる。

 ドーナツの本格発売から約半年。「購入データをみると、狙い通りコーヒー、ドーナツの合わせ買いの比率が高い。入れ立てコーヒーも、ドーナツとの相乗効果で伸びている」(和瀬田セブンイレブン執行役員)という。今後の課題は「もっとおいしく」―。そのため、社内に〝どんどんおいしくしていくプロジェクト〟を組織するなど、さらに高みを目指すどん欲さはさすがと言わざるを得ない。

 セブンイレブンがコンビニエンスストア業界で、ここまで成長できた最大の要因を一つ上げるとすれば「やるとなったら徹底的に継続してやること」。まさに、入れ立てコーヒーも失敗しても恐れず、挑戦し続けた結果の大ヒット。今回のドーナツも、店頭販売にあたって、そこまでやるか、というほど調査や管理に念を入れた。徹底的に続ける、これこそが矢継ぎ早のヒットの源泉なのだ。
 
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
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