若年で発症が多い潰瘍性大腸炎、長期に治療と向き合う

“チーム医療”の重要性

 慢性の炎症が大腸粘膜に生じる潰瘍性大腸炎(UC)の治療選択肢が増えてきた。炎症を抑えて下痢や粘血便などの症状を緩和する寛解導入や、炎症のない状態である寛解期を維持する寛解維持が容易になってきている。一方、日本でのUC患者は推定20万人前後で増加傾向にあり、若年での発症が多いため、治療が長期間に及びがちだ。医療関係者は患者とどう向き合い支えていくべきなのかが、あらためて問われる。

 「寛解導入も寛解維持もできるようになり、(患者は)通常の日常生活が可能な時代になった。難病ではなくなりつつある」。北里大学北里研究所病院炎症性腸疾患先進治療センターの日比紀文センター長は、UCの治療の進歩をこう語る。

 従来、UC治療では腸内で局所的に働き炎症を抑える5―アミノサリチル酸製剤が広く使われてきた。だが近年は、炎症のもととなる物質であるTNFαの働きを抑制する抗TNFα抗体が普及。さらに今年、こうした既存治療の効果が不十分な場合に投与する薬として、ファイザー(東京都渋谷区)の「ゼルヤンツ」や武田薬品工業の「エンタイビオ」が承認された。

 ただUCの好発年齢は20―30歳とされ、長期の治療が必要になる場合も多い。日比氏は患者に合ったきめ細かい管理のために「医者だけでなく薬剤師や看護師、管理栄養士も一緒にこの病気を理解すべきだ」と、“チーム医療”の重要性を指摘する。症状が重い患者には消化が良く刺激の少ない食べ物が求められるため、栄養士の役割も大きいと言える。

【専門医は語る】


●北里大学北里研究所病院炎症性腸疾患先進治療センター長・日比紀文氏

 UC治療では長期間、寛解維持をしていくことが大切で、それには適時に相談や指導のできる環境が必要。だが日本では外来の診療時間が非常に短く、患者さんはなかなか医者に(治療に伴う生活の悩みなどを)全部は話せない。当院では(UCを含む)炎症性腸疾患専門の看護師を置き、患者さんの家族への理解促進や、各医療関係者の橋渡しなどに取り組んでいる。

 UCの診断をめぐる課題についてだが、患者さん自身が自分の症状をうまく表現できない事例がある。この病気は(患者が)20万人くらいになろうとしている一方で、一般的には知られていない。ただ日本では、消化器分野(の医療機関)までいらっしゃると、内視鏡をほとんどの先生がやられるので、そういう形で確定診断は増えてきていると思う。(談)

日刊工業新聞2018年7月10日

日刊工業新聞 記者

日刊工業新聞 記者
07月15日
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2017年11月から18年1月に米国の調査会社が行った潰瘍性大腸炎の実態調査では、UC患者の診察時間をもっと長く取れれば良いと考えている医師は全体の79%に上った。チーム医療が進めば患者の精神面のフォローもしやすくなりそうだ。
(日刊工業新聞・斎藤弘和)

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