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環境に優しいまちづくりの要はドローン

名古屋産業大などが二酸化炭素濃度の調査開始
環境に優しいまちづくりの要はドローン

ドローンを使って、毎週1回、二酸化炭素濃度を定点観測している

 名古屋産業大学の伊藤雅一教授の研究グループは、グリーンフロント研究所(愛知県岡崎市)と協力し、飛行ロボット(ドローン)を使った二酸化炭素(CO2)濃度の調査を始めた。地域環境評価の基礎となるCO2濃度の空間分布を検証し、低炭素地域づくりに役立てる。これを機に、環境教育を主体としてきたCO2濃度調査の適用領域を環境政策分野にも広げ、実測データに基づく環境指標の具体化を目指す。

 これまで実施してきた可搬型のCO2濃度測定器を用いた地表面付近のCO2濃度の測定に加え、ドローンを使って地上高20メートル付近のCO2濃度データも収集する。ドローンによる調査は大学周辺地域で毎週1回実施。CO2濃度の日変化の中で最小値を示す時間帯として、15―16時に定点観測する。

 上空のCO2濃度の測定には、以前は気球を利用していたが、ドローンの場合、多地点での測定が容易。さらに「地域の代表的な排出源や吸収源の安定的CO2が反映されたCO2濃度の分布データを把握しやすい」(伊藤教授)という。

 地表面付近のCO2濃度の調査では、近傍の排出源の局所的な影響や、建物等による風通しの影響が反映される。ドローンでの実測データは、CO2濃度測定局の定点データや気象台の気象データとほぼ同様の地上高のデータ収集が可能。一定空間におけるCO2濃度の代表的な測定値を収集することで「地域環境評価の指標としての可能性を検証したい」(同)という。

 CO2濃度測定器はユードム(水戸市)と共同開発している。今回はドローンに固定するアタッチメント(装具)を試作した。

 伊藤教授が着目するCO2濃度の実測データは、自動車排ガスに含まれるCO2排出削減のための電気自動車(EV)や、公共交通の普及、CO2の吸収効果を高める緑化活動など、低炭素地域づくりの効果を評価する指標となる。

 これまで中心だった児童・生徒が対象の環境教育向けの成果を生かし、地球温暖化防止活動を実践する市民や、民間非営利団体(NPO)と連携して低炭素地域づくりを促す考えだ。
日刊工業新聞2018年7月4日
葭本隆太
葭本隆太 Yoshimoto Ryuta デジタルメディア局DX編集部 ニュースイッチ編集長
ドローンの活用がどんどん広がっていますね。

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