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「レッツノート」はなぜ美しいの?

主任デザイナーに聞く
「レッツノート」はなぜ美しいの?

パナソニック公式サイトより

 スマートフォンやタブレット端末の普及で、ノートパソコン市場は厳しさが続く。そんな中、法人向けに焦点を当てて安定成長を維持しているのが、パナソニックのノートパソコン「レッツノート」だ。パソコン事業を担当する社内カンパニー、コネクティッドソリューションズ社デザインセンターの岸本藍主任デザイナーに聞いた。

 ―デザインする上で重視しているのは。
 「上位概念として、いきいきと働く姿を実現するという『ワークジェニック』を掲げている。デザインによって『この人は仕事ができそうだ』と、周囲から信頼を高められるようにしたい。もう一つが『ファンクショナル・ビューティー』。美しさだけでなく、意味のあるカタチも追求するという考え方だ」

 ―歴代レッツノートには三つの特徴的なファンクショナル・ビューティーがあります。
 「まずはストライプ状に凹凸をつけたボンネット。この形状により、混雑した満員電車の中で生じる100キログラム重の加圧にも耐えられる。次に円形のホイールパッド。円に沿わせて指を動かすことで、快適に画面スクロール操作ができる。最後に、葉っぱのように角が欠けた形状のキーボード。これによって指の引っ掛かりを抑えて、誤入力を軽減している」

 ―ワークスタイルの変化に合わせ、製品の形態を改良しています。
 「最近のビジネスでは、対面式でのプレゼンが増えた。そこで画面を360度回転させたり取り外したりして、タブレットのように使用できるパソコン製品も出している。価値観や環境の多様化に、デザイン面でも対応しないといけない」

 ―デザインセンターは、社内カンパニーの垣根を越えた横断的な組織となっています。
 「他カンパニーのデザインセンターとは、勉強会の開催などで情報を共有している。最近はオフィスと暮らしの融合が進む。対応するために、今後は連携を活発にしていきたい」
(文・園尾雅之)
日刊工業新聞2018年7月3日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
「満員電車の中で生じる100キログラム重の加圧」・・・。ある女性の話では、ぎゅうぎゅう詰めの満員電車で体が浮くことがあるそうです。浮いたことはないし想像が難しかったのですが、なんだか納得しました。

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