ハワイ直行便 ANAがJALの牙城を崩す「奇想天外」な大型機

  米ハワイへの送客を巡って全日本空輸(ANA)が日本航空(JAL)に真っ向勝負を挑んでいる。ハワイはJALが長年築いてきた“牙城”だ。ANAは2019年春、成田―ホノルル線にエアバスの超大型旅客機「A380」3機を就航する。独創的なシート構成や、現地空港での専用ラウンジなどの施策を矢継ぎ早に公表。まさに「乾坤一擲(けんこんいってき)」(ANA平子裕志社長)の大一番に出た。

 ANAのA380導入は、スカイマーク支援を決める際、債権者エアバスとの交渉で購入を内定した経緯があったとされる。500席を超える超大型機の有効活用先として、手薄だったリゾート路線の強化に踏み出す。

これまでANAとJALの国際線路線網は「体力勝負を避け、すみ分けてきた」(業界関係者)との指摘がある。JALの破綻による縮小もあり、両社の国際線が肩を並べる規模になった今を、ANAは攻め時とみた。

ANAの平子社長はA380の客室を「奇想天外」と紹介する。エコノミーでは家族向けに、並び席で体を横たわれるカウチシートを設定。ビジネスにはカップル向けに、隣り合って座るペアシートを導入する。ホノルルのダニエル・K・イノウエ空港には専用の巨大ラウンジを設置。ファミリーエリアを備えて子ども連れの徹底したサポートを誓う。

 JALの赤坂祐二社長は「特別な飛行機、ざん新なサービス。さすがANAだ」と舌を巻く。現在、日本―ハワイ間でJALは3割強のシェアを持つ。1割台のANAは超大型3機の投入で、供給座席数を従来比2倍強に高め、一気に差を詰める。関西空港発着で格安航空会社(LCC)2社も就航し、競争は激しくなりそうだ。

 「ハワイはJALが作ってきた大きなマーケット。負けるわけにいかない」(JAL赤坂社長)と受けて立つ構えだ。ホノルルマラソンの協賛をはじめ、着地型観光や宿泊でも連携を深め、日本からの送客を拡大させてきた。17年には成田―ハワイ島のコナ間に路線を開設。ANAと提携解消したハワイアン航空と提携し、シェア優位を盤石とする。

 ANAはさらに二の矢、三の矢を放つ。マイレージプログラムの潜在需要を掘り起こすとともにソフト面の充実を図る。ANAの平子社長は「宿と飛行機を組み合わせたパッケージ(ツアー)以外の商品でも需要を喚起する」と意欲を見せる。

日刊工業新聞 記者

日刊工業新聞 記者
07月01日
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JALもサービスのバリエーションを増やすことで対抗する方針だ。ただ日本―ハワイの市場は、飽和状態に至っておらず、過当競争の懸念は薄い。JALの赤坂社長も「一緒にハワイを盛り上げるのは、とても良いこと」と述べ、競争による相乗効果にも期待する。
(日刊工業新聞・小林広幸)

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