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二つの「午後の紅茶」、違いは“感性”

キリンビバ、感性工学で容器開発
二つの「午後の紅茶」、違いは“感性”

独自の感性工学を用いて開発した午後の紅茶(左)と旧デザインのボトル

 キリンビバレッジは飲料パッケージの開発で、独自の感性工学を用いた解析を初めて採用した。従来はマーケティング担当者の感性などに依存していたが、消費者が感じるイメージや好みを収集・分析し、コンセプトに合致した形状(容器)を科学的に抽出する。主力商品「午後の紅茶」のリニューアルで採用し、今後の採用拡大を検討する。

 感性工学では、人が商品に対して抱く感性・感覚と、商品の形状・質感などの対応関係を科学的に紐(ひも)付けて、商品設計に反映する。キリンビバレッジは午後の紅茶のリニューアルでアンケートを実施。100種類以上のデザインの組み合わせから新ボトルを開発した。

 具体的には、目指すボトルイメージとして、「定番感」を維持しながら「本格的」「おしゃれ」「現代的」などの面を強化することに決定。アンケートを基にイメージにふさわしい形状デザインを抽出した。

 完成したデザインは「クリスタルアイスティーボトル」として特許を出願中。肩部ラインで本格感、胴部のクリスタル形状でおしゃれさ、斬新さを表現した。

 午後の紅茶は2017年の販売数量が過去最高の5250万ケースで、紅茶カテゴリーでは首位。15年のリニューアルから3年が経過し、定番ブランドとして定着しているが、新規ユーザー獲得に向け、ブランドイメージの向上を図った。今後、他の商品開発に広げることを検討する。
日刊工業新聞2018年6月27日
土田智憲
土田智憲 Tsuchida Tomonori かねひろ
グッと引き締まり、パッケージの構造からも、午後の紅茶の味が想像できるような形になりました。 これからの工業パッケージでは、味の印象を、幾何学構造体、テキスタイルで表現し、感性と結びつけていく手法がどんどん出てきそうですね。

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