ビューティーテック元年、「美容×テクノロジー」は何を生み出すか

化粧品の概念がなくなる!?

 2018年は美容と新技術を組み合わせた「ビューティーテック元年」という言葉が生まれ、業界の新たなトレンドになりつつある。化粧品業界には異業種やベンチャー企業も続々参入。化粧品と美容医療の境界線もあいまいになりつつある。破壊的イノベーションを起こすべく、大手化粧品会社も人工知能(AI)や人工皮膚など最新技術を取り入れた研究開発に力を注ぐ。

 ポーラ・オルビスホールディングス(HD)は、18年から化粧品の枠を超えた研究開発を強化している。HDにグループ全体の研究統括機能を集約するマルチプルインテリジェンスリサーチセンター(MIRC)を新設した。グループ研究・薬事センター担当の末延則子執行役員は「将来的に化粧品という概念はなくなるかもしれない。遺伝子操作や人工皮膚など、10―20年先を見据え画期的なイノベーションを目指す」と話す。

 内閣府と経済産業省が3月に創設した「宇宙ビジネス投資マッチング・プラットフォーム(エス・マッチング)」にも参画し、重力と老化に関する技術を持ち込むことも視野に入れる。宇宙科学とつなげることで、皮膚科学の飛躍的な発展に期待を込める。

 またAIを活用し、日常生活における肌の状態と健康状態の相関関係の解明を進める。化粧品を肌の手入れにとどめず、健康・心理状況に影響を与える可能性を探る。例えば、肌状態を見ることで睡眠不足かどうかを判定するなど、“肌”から、新たな価値を生み出すのが狙いだ。20年以降に肌状態から感情や健康状態を把握するようなサービスや、化粧品への応用を目指す。

 資生堂は17年から米ベンチャー企業を相次いで買収。これまでに、スマートフォンアプリによる肌色測定で一人ひとりに合うファンデーションを提供する米マッチコーや、AI技術を持つ米ギアラン、人工皮膚形成技術を持つ米オリボラボラトリーズを買収した。資生堂の化粧品作りのノウハウとデジタル技術の融合を図る。18年12月には、新たな研究所「グローバルイノベーションセンター」(横浜・みなとみらい21地区)が稼働する。

日刊工業新聞2018年6月22日

日刊工業新聞 記者

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06月23日
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化粧品業界と美容医療は境界線があいまいになりつつあり、融合が進む。安全・安心はもちろんだが、化粧品により効果の高いものを求める顧客も増加。化粧品の枠を超えた、従来の発想にとらわれない研究開発が次代のカギを握る。
(日刊工業新聞社・高島里沙)

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