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出荷台数は7年で5分の1に、デジカメ各社は撤退か新開拓か

各社の経営が大きな岐路に
出荷台数は7年で5分の1に、デジカメ各社は撤退か新開拓か

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 デジタルカメラが転換点を迎えている。フィルムカメラを駆逐し普及を遂げたが、近年はスマートフォンに代表される新たなテクノロジーに押され、出荷台数はこの7年で約5分の1に激減している。一部の企業では撤退や縮小の動きが出てきた。事業を継続して新たな領域を開拓するか、それともカメラに代替する新たな事業分野に打って出るのか。各社の経営は大きな岐路にさしかかっている。

80年の歴史に幕


 キヤノンは、同社唯一のフィルムカメラ「EOS―1v」の販売をこのほど終了した。デジタルカメラの普及に伴い販売量が減少したためだ。今後は修理のみを受け付ける。1936年以来、約80年間続いた同社のフィルムカメラの歴史が幕を閉じた。そのフィルムカメラに取って代わったのがデジタルカメラだ。ただ、そのデジカメも近年はスマホの台頭で苦しい展開が続いている。

 特にこの1年で撤退の動きが相次いだのがコンパクト型(通称コンデジ)だ。カシオ計算機はコンデジ事業から撤退すると公表。同社のコンデジの売上高はピークだった07年度の約1300億円から10分の1以下にまで激減し、撤退に追い込まれた。ニコンやオリンパスも中国でのコンデジの生産撤退を決めている。

明るい兆し


 苦戦が続くデジカメ市場だが、明るい兆しもある。カメラ映像機器工業会(CIPA)によると、17年のデジカメの総出荷台数は前年比3・3%増の約2497万台となり、10年以来の増加に転じた。市場のけん引役とみられているのはミラーレスカメラだ。

 特に「スマホの撮影から、本格的なカメラでの撮影に乗り換える動きが出ている」(業界関係者)動きがあり、ソニーやオリンパスなど各社が高付加価値製品を投入。3月にはこの分野で後発組のキヤノンが、主力ブランドの一つ「EOSキス」シリーズに初めてミラーレスモデルを投入するなど、市場の拡大が期待されている。

 とはいえ、17年の市場回復は前年の熊本地震で出荷量が落ち込んだことの反動という側面もあり、回復傾向が今後も続くかは不透明だ。まして、かつての年間1億台超という市場規模にまで回帰するのは非常に厳しいだろう。

 縮小傾向が続くとみた場合、カメラ事業を今後どう位置付けるかが各社の経営課題になる。カメラ事業は開発・生産技術の重要なカギでもある。オリンパスは中国での生産は終了するが、笹宏行社長は「映像部門は技術開発のドライバー。ここで培った技術を医療など他分野で活用している」という。安易な撤退は今後のモノづくり力の低下につながる懸念もある。
 
日刊工業新聞2018年6月4日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
市場が縮小する中長期のトレンドに対応する一方、技術力の維持という課題にどのように対応するのか。選択と集中をめぐる巧拙が、各社の競争力の大きな差につながる可能性がある。 (日刊工業新聞社・杉浦武士)

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