「色より感動」、ソニー新社長が中計で背負うもの

最高益も、少しこわばった表情で危機感あらわ

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腕相撲に興じる創業者の井深大氏(右)と盛田昭夫氏の映像を背に、中計を発表する吉田社長
 ソニーが長年のテーマだった「高収益企業」の実現に向けて動き出した。22日発表の2021年3月期を最終年度とする新中期経営計画には財務目標が並び、基盤固めの姿勢を鮮明にした。キャッシュ創出の主役は、テレビやオーディオ、デジタルカメラといった伝統事業と、コンテンツIP(知的財産権)などを活用する「リカーリングビジネス」。今中計は、過去最高益から経営不振に陥った20年前の経験を乗り越え、飛躍につなげるための土台となる。

 会見の冒頭、少しこわばった表情で壇上に立った吉田憲一郎社長兼最高経営責任者(CEO)は、97年度に最高益を達成した後、インターネットの登場などで21世紀に入り経営危機を経験したことに触れ、17年度の業績に慢心しない心構えを改めて訴えた。だが、危機意識の高さゆえに保守的になりすぎてしまえばソニーらしさを失い、市場創出や飛躍のスピードが鈍化する要因ともなる。

 「ソニーのミッションのキーワードは『感動』だ」―。吉田社長はこう強調し、今中計では「感動」と「ユーザーやクリエイターに近づく」ことを軸に据えた。平井一夫会長時代からの方針を引き継ぐ格好だ。

 会見では、「中計で自身の色が出た部分はどこか」と問われ、「色はあまり出ておらず、『感動』という大きなビジョンは変わらない。これを突き詰めるのが今回のメッセージだ」と答えるのにとどまった。ただし財務基盤を強化し、次の投資に備えるという姿勢は、吉田社長“らしい”と言えるだろう。
(文=政年佐貴恵)
 

日刊工業新聞2018年5月23日「深層断面」から抜粋

COMMENT

明豊
デジタルメディア局
局長

CFO時代から「番頭然」として2番手を意識しながら、資本市場やメディアと真摯に向き合ってきた吉田さん。でも個人的には、昔から吉田さんはとても「社長になりたかった人」だと思っている。背景の絵を見てもそれが分かる。ソニーの社長は他社より背負うものが大きい。「感動」とかいうミッションを掲げないといけないので。ただしそれを生み出すのは社長ではない。任天堂も銀行出身から経理畑が長いプロパーへの社長リレーだ。変に欲を出さず今まで通りで良いと思う。

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