異業種大手が仮想通貨に熱視線、その背景にあるのは?

マネーフォワードややまねメディカルが参戦へ

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交換業者16社が団結。市場の健全な発展を目指す日本仮想通貨交換業協会が発足(東京都内、4月23日)
 仮想通貨業界に対して、異業種の上場企業が関心を寄せている。家計簿アプリケーションなどを提供するマネーフォワードが仮想通貨交換業への参入を表明。サービス付き高齢者住宅を展開するやまねメディカルなども定款の変更案に、「仮想通貨の交換業および仮想通貨に関する販売所・取引所の運営・管理」といった文言を盛り込んだ。顧客の利便性の向上や事業領域の拡大・多様化などが参入表明や準備の背景にある。

 「“見える化”したデータを投資、送金・決済など次の行動に移したいというのがニーズ。これにしっかり応えていく」。マネーフォワードフィナンシャル(東京都港区)の神田潤一社長はこう主張する。

 同社はマネーフォワードの100%子会社として3月に設立。年内の仮想通貨交換業の登録と交換所の開設を目指している。親会社とともに、仮想通貨を知る機会を提供するだけでなく、送金・決済、資産管理・確定申告まで一括で支援し、利便性の向上を図る。

 やまねメディカルは仮想通貨を盛り込んだ定款変更案について、「今後の社会保障分野の拡大とそれによる財政負担の増大に備え、社会保障全体におけるエコシステムの最適化と効率化を可能とする暗号通貨の導入が有用」とする。その上で「ブロックチェーン(分散型台帳)技術を導入した暗号通貨の研究開発を専門家を含めて推進中」として、実用化や運用開始に備える。

 ネット広告のアドウェイズも定款の変更案で事業目的に仮想通貨関連業務や仮想通貨交換業などを盛り込んだ。担当者は「今後の事業領域の拡大と多様化に対応したい」とする。今後も市場は拡大するとみて、いつでも事業を開始できるよう既に社内で体制整備をしているもようだ。

 エンターテインメント業界ではエイベックスが新事業・イノベーション領域の一つにフィンテック(金融とITの融合)を掲げ、電子決済システムを担う子会社を6月に設立することを決定した。定款変更案に追加した仮想通貨交換業について、同社担当者は「将来的に検討している」としている。 

 ゲーム事業が主力のドリコムも定款変更案に仮想通貨交換業などを追加したものの、担当者は「当面、主力のゲーム事業に注力する方針で、この数年で仮想通貨の交換業への参入の可能性は低い」とする。同社は数年前から分散型台帳技術などに対する知見を深めており、むしろ仮想通貨に留まらない同技術の応用可能性の広さに関心がありそうだ。

一連の動きについて仮想通貨に詳しい三菱UFJリサーチ&コンサルティング調査部の廉了(かどさとる)主席研究員は「登録できる環境になればすぐに参入できる準備をしておこうということだろう。やや様子見に近い」と冷静にみる。
 

日刊工業新聞2018年5月30日

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様子見とはいえ先鞭を付けようとする動きは広がりそうだ。 (日刊工業新聞社・山谷逸平)

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