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マヨネーズを手作りする老舗ホテルのこだわり

開業90周年 ホテルニューグランド
マヨネーズを手作りする老舗ホテルのこだわり

「プリン ア ラ モード」今は珍しいコルトンディッシュも見どころ(税込価格¥1,458)

 マヨネーズの手作りに意味はあるか?決してメインにならない食材である。経費削減が常に求められ、シティホテルの多くが変化せざるを得ない状況下にある今日、マヨネーズから手作りしているホテルがある。ホテルニューグランド(横浜市中区山下町10番地)だ。

 横浜市民にとっては「名門」としてお馴染みで、1927年開業。「シーフードドリア」「スパゲッティ ナポリタン」「プリン ア ラ モード」発祥としても有名なホテルだ。

 現在この3品は本館1階「コーヒーハウス ザ・カフェ」で楽しむことが出来る。よくオーダーもされ、90周年開業企画として期間限定で登場したメニュー「大人のお子様ランチ」(ハンバーグステーキ、スパゲッティ ナポリタン、シーフードドリア3品がワンプレートに。デザートにカスタードプリンが付く)も大好評を得た(5月31日まで提供)。

 完成品の購入、カット野菜の導入など経費削減の為の企業努力に喘ぐレストラン業界だが、ホテルニューグランドは手作りに拘る。例えば「シーフードドリア」のソースは宴会場の大きな攪拌機を使い製作。その後布で漉し、さらに各レストラン到着後にさらに攪拌するという凝った工程。「体調がすぐれないお客様のために作った」という由来からか、油っぽくない、さらりとした舌触りでしつこすぎず食べやすい。

 このニューグランド、実はマヨネーズまで手作りしている。マヨネーズはメインで食べることはない「調味料」だ。
確かに美味しく、酸味に加え辛味を感じる。口当たりはかなり滑らかで、後味がさっぱり。市販のマヨネーズを食べた後口に残る味が一切ない。

手作りのマヨネーズ。ポテトサラダや、クラブサンドのパンに塗ったりするそう


 ここまで手作りに拘る理由はなんだろうか。広報の方に尋ねたが、特に狙っているわけではなく、「それがニューグランドだから」という様子。「ニューグランドでないと」と言われるものを提供し続ける。


 その一方で、「昨年夏季には本館ロビーを使用し期間限定バーを開設しました。発案者の企画を聞いた際には驚きましたが、好評で、今夏も予定しています」という。
守る一方で、新しい挑戦をし、新しいファンを作る。そのシンプルな企業精神だ。

 現在、ベーカリー類も全品社内メイドにしようと「パン工房を近くに建設中です」と広報の方。地元の人に愛される老舗ホテルの静かな挑戦は、今なお続いている。

メトロガイド
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
マヨネーズだけでなくフレンチドレッシングも手作り! 他にもホワイトソース、デミグラスソースなど 様々な手作りがあるようです。当然プリンも手作り。そこまでこだわる理由はあるのか…!? 答えは「それがニューグランドだから」。 スタッフの方の継続勤務年数も長く、常連さんとの距離が近いのもニューグランドならではです。

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