揺れる東芝「原発子会社」はどうなる?

米ウエスチングハウスの保守・サービスは堅調。欧州での新設受注も内定しているが

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佐々木社長(現副会長)時代に東日本大震災などがあり、原発事業の戦略転換を迫られた。
 2006年、西田厚聰社長時代(現相談役)に東芝にとって過去最大の金額で買収した米の原子力事業会社ウエスチングハウス(WH)。西田氏の後を引き継いだ佐々木則夫社長(副会長)は、原子力部門出身で原子力事業は成長していくかに見えた。

 しかし東日本大震災や米国のシェールガス革命などにより環境は一変。新設需要がほとんど動かなくなった。現状、原子力事業の収益の大半は、WHの保守サービスや燃料供給サービスに頼っている。ただ買収以降、東芝とWHの経営陣の足並みがそろわないことも多く、WHの最高経営責任者が何度か交代。WHの大株主だった米ショーグループが原発事業から距離を置き2013年に株式を売却。その分を東芝が引き取って、現在は87%を保有している。東芝はすぐにWHへの新たな出資先を見つけるとしていたが、難航したままだ。

 今回の不適切会計問題によって財務基盤が悪化すれば、リスクの高い原子力事業は見直しを迫られる可能性が高い。トップ人事も含め、同社の原発事業は大きな転換点を迎えた。

WHの保守サービスは原発事業の頼みの綱


 東芝は傘下の原子力発電設備大手の米ウエスチングハウス(WH)が、米国のパロベルデ原子力発電所1―3号機向けに取り換え燃料などを受注した。受注金額は2億5000万ドル(約300億円)。東芝は原発設備の新設工事が停滞していることを踏まえ、原発向け燃料供給事業と設備の保守サービスに軸足を置いている。今回、WHが受注したのも現行の戦略の一環になる。
 
 東芝とWHは原発の多い米国市場に注力している。米国では約100基の原発が運転しており、このうち35基が沸騰水型軽水炉(BWR)とされる。燃料供給や保守サービスの需要が大きいことから東芝とWHが協力して市場を開拓する。
 
 特に保守サービスではBWRの保守契約獲得に向け、今後5年程度かけて米国の要員を倍増。契約数を現在の2倍となる8―10基程度まで増やす。発電用タービンなど周辺機器(BOP)の保守にも参入する。近年、BWRの新設案件は停滞し、東芝のほか日立製作所など“BWR陣営”は受注が伸び悩んでいる。東芝は保守の需要が大きい米国市場を攻略して安定的な収益基盤を築く。

 東芝とWHは米国にBWR関連の連携部隊をそれぞれ約10人配置し、技術力や現地の営業網など互いの強みを共有している。新たに米国で保守契約の獲得に向け、受注活動を推進する連携部隊を増やして対応力を強める。米電力会社への駐在も拡大し、タービン交換など大型案件の受注も目指す。

 米国にはBWRと加圧水型軽水炉(PWR)を併有する電力会社がある。PWRが主体のWHと連携することで、BWRとPWRの両方をパッケージとして保守できる強みを訴求。また、現場の作業者を集める仕組みなど、WHが蓄積したPWR保守の知見を生かす。両社の経営資源を活用して価格競争力を高める。

 BOPの保守はタービンや発電関連機器など原子炉以外を請け負う。東芝は米国・ミルウォーキー市に火力発電設備向け修理拠点を置き、タービンなどのメンテナンスを行っている。BOP保守を受注した際には同拠点を転用し、事業を推進する意向だ。
 
 保守は米ゼネラル・エレクトリック(GE)の独壇場だったが、近年は東芝が食い込み始めている。東芝の原子力発電設備事業は約6000億円とされ、このうち保守・燃料ビジネスが約8割を占める。(2014年08月21日&2015年01月09日付)

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