中国株急落!自動車、建機、鉄鋼…日本企業への影響を総点検

不動産投資や都市開発が減速で。重電や建設市場に悪影響が

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建機業界は中国市場の長期的な低迷に苦しむ(中国で稼働する日立建機の油圧ショベル)
 中国の株価急落が日本企業の中国事業に影を落としそうだ。不動産投資、都市開発の減速で、現地の重電や建設市場に悪影響が及ぶ可能性が高い。低調な自動車販売も一層の冷え込みが懸念されている。供給過剰が続く鉄鋼も市況が一段と悪化しかねず、海運業界にも波及しそうだ。一方、中国人投資家の存在感が高まっている国内マンション市場では「影響は限定的」との見方が出ている。
 

自動車、値下げ競争激しさ増す


 中国自動車市場の伸び悩みは、すでに表面化しており、値下げなどによる販売競争が常態化している。株式相場の下落で購買意欲が冷え込めば競争は一層激しさを増しそうだ。

 中国市場はかつての2ケタ成長の勢いはなく今年から低迷が目立つ。中国汽車工業協会によると、4月は前年同月比0・5%減、5月は同0・4%減と前年割れが続いた。成長鈍化に伴い、販売競争は激しさを増し、独フォルクス・ワーゲン(VW)や米ゼネラル・モーターズ(GM)の2強が値下げ攻勢を仕掛けており日系メーカーも「応戦せざるを得ない状況」(幹部)だ。

 調査会社フォーイン中国調査部の平野孝治氏は、「(株価下落が)外資メーカーの販売低迷に追い打ちをかけ、値下げ競争がさらに激しさを増す可能性がある」と指摘。中国の販売環境悪化は、中国事業の収益悪化リスクが高まるだけでなく、日本からの完成車輸出にも影を落とし、多方面に波及する可能性がある。
 
 【建設機械・低迷に拍車、我慢続く】
 建設機械業界は不動産投資の鈍化や地方政府の公共事業抑制などにより、中国市場の長期的な低迷に苦しむ。4―6月各月の油圧ショベル販売台数はコマツ、日立建機ともに、ほぼ前年同月比5割以上減少している。

 地方政府の大型工事が動いておらず、油圧ショベルの需要低迷は当面続くとみられる。ただ、小型工事で使われるミニショベルは油圧ショベルほど需要が落ち込んでいない。日立建機は5・5トンクラスの機種を2014年末に投入するなど、販売に力を入れる。

 同社は油圧ショベル工場の稼働率を4月から約半分に下げるなど、在庫調整にも取り組む。コマツは各国の工場の部品のうち、可能なものは中国で生産するなど工場の稼働率確保に腐心する。株価の大幅下落が建機の需要動向にどう影響するか不透明だが、低迷に拍車がかかる恐れがある。当面は我慢の展開が続くが、市場の変化を敏感に察知し、効果的な手を打つことが求められる。
 
 【鉄鋼・一層の市況悪化懸念】
 すでに鉄鋼業界では中国経済の減速に伴う中国産鋼材の余剰に悩まされている。日本勢の主要な輸出先でもある東南アジア市場にあふれ出し、市況が大幅に悪化。「まだ円安なので何とかしのげているが、汎用品だと利益はほとんど取れない」(大手ステンレスメーカー幹部)状況だ。株価急落が中国景気の足を一層、引っ張ることになれば、その悩みはさらに深まりかねない。

 一方、8日に都内で会見した神戸製鋼所の川崎博也社長は、中国での事業について「自動車の生産台数を注視している。伸び率こそ鈍化しているが、乗用車はまだ増えている」と述べ、現時点で見直しなどの必要はないとの認識を示した。

 同社は中国国内の2カ所で自動車用部材の工場を建設中。「乗用車でも高級車の方が売れている。購買層も減ってない。それに環境規制も間違いなく適用され、自動車の軽量化の方向性も変わらない」とし、短期的な株価の動きに左右されず、計画通り進めていく構えだ。
 

日刊工業新聞2015年07月08日 深層断面

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