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“哲学の東洋大” 次なるブランディングは東京五輪にあり

竹村学長に聞く「ビジョンビヨンド2020」
 東洋大学はすべての学問の基礎が哲学にあるとする建学の精神の下、自分の人生観や世界観などの哲学を持つ人材を育成してきた。目まぐるしく変わるグローバル社会で活躍する人材でもこの理念が変わることはない。2017年に創立130年を迎えた同大学の竹村牧男学長に改革への道筋を聞いた。

 ―大学を取り巻く環境は厳しくなっています。
 「外部資金が少なくなる一方、研究力の強化が求められている。今は海外の外部資金の調達を目指している。こうした取り組みは、大学の世界ランキングに影響し大学院生の募集数にも響く。研究力の強化は大きな課題だ」

 ―研究力向上のための新しい取り組みは。
 「17年11月に採択された文部科学省の事業『私立大学研究ブランディング事業』が一つの柱。アスリートや高齢者の健康管理、熱中症対策などに役立つ研究を全学で行う。20年の東京五輪・パラリンピック大会をにらみ、成果を発信したい」

 ―全学の重点研究分野を検討しています。
 「10―20の重点分野の柱を立て資金の重点配分を考えている。東洋大の独自性となる哲学や日本文化、社会福祉などはその候補だ。また地球レベルで解決が求められる貧困や、国連の『持続可能な開発目標』(SDGs)などの解決につながる研究も必要だ」

 「大学側のシーズから出たものとして、生命科学や情報、モノのインターネット(IoT)、人工知能(AI)などがある。一方、公的サービスへの企業参入を促す『公民連携』(PPP)の分野では国連から教育認証を受けており、引き続き重要分野として取り組んでいく」

 ―東京五輪に向けた取り組みも始めていますね。
 「17年度から研究テーマを公募し、すでにカヌー作りのプロジェクトが始まっている。教育面では五輪に関する全学の科目を設けている。またボランティアの育成にも力を入れ、あらゆる方向から大学全体で東京大会を支援していく」
(聞き手=冨井哲雄)
東洋大学学長・竹村牧男氏

【略歴】たけむら・まきお 75年(昭50)東大院印度哲学専修博士課程中退、同年文化庁専門職員。84年三重大助教授、92年筑波大教授、02年東洋大教授、07年文学部長、09年から現職。文学博士。東京都出身、70歳。
日刊工業新聞2018年4月12日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
東洋大は理工系の学部が増え「文芸理融合」などの取り組みも出ており、より社会のニーズに応えることに主眼を置いている。2年後に迫った東京五輪を見据え、アスリートを支援するための研究や教育などには全学を挙げて取り組む。「東洋大学ビジョンビヨンド2020」を掲げる竹村学長の手腕に期待が集まる。 (日刊工業新聞科学技術部・冨井哲雄)

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