日本のAIをけん引するアベジャ、岡田社長が語る「第2の創業」

「業界別のサービスパッケージで営業力を高める」

 人工知能(AI)ベンチャー企業のABEJA(アベジャ、東京都港区)が第2の創業期を迎えている。2012年9月の設立から約6年。多くの分野でAI技術のディープラーニング(深層学習)を活用する動きが広がり、深層学習を使いやすくするプラットフォーム(基盤)を提供するアベジャと連携する企業が増え続ける。岡田陽介社長にアベジャの今後の展開について聞いた。

 ―ユーザー数の現状と強みは。
 「現状のユーザー数は100社ほど。当初は小売り向けのサービスで実績を積み、現在は製造業、エネルギー、物流など多くの分野に広がった。ユーザー側でAIへの理解が深まり、アベジャが提供する基盤『アベジャプラットフォーム』の良さが受け入れられたと考えている。設立当初はユーザー側が『AIを入れれば何でもできるようになる』『とにかくAIを入れたい』といった考えで苦労した。今は経営者、部門長といったクラスの人がAIのコストや適用できる作業について勉強している」

 ―アベジャが受け入れられる要因は。
 「本番への強さだと考える。AIがブームだと言っても、ほとんどの企業は試用導入の段階だ。アベジャは小売業界で来客の行動分析などから売上高拡大に貢献できるシステムで先行し、24時間、365日の安定稼働を続けている。さらに、アベジャプラットフォームはユーザーが使いやすい工夫を施している。深層学習の活用には、データ取得、蓄積、学習、推論・再学習といった工程がある。これを一気通貫ででき、かつ使いやすくした」

 ―今年を第2の創業期と位置付けています。
「アベジャプラットフォーム正式版の提供開始に合わせ、業界別のサービスパッケージ『アベジャインサイト』を用意した。また、サービス提供、コンサルティングなどのパートナーの区分を分け、AI技術の実装を担えるプロフェッショナルパートナー、アベジャの技術と連携したソリューションを持つマーケティングパートナーとした。役割を明確化して事業のスピードを速める。アベジャの企業ロゴを刷新し、本社も移転した。今後も従業員を30人増やして100人以上にし、営業力を高める」

 ―AI人材が不足する中、人材強化が課題です。
 「拠点を持つシンガポールでは、シンガポール国立大学とAIの研究開発と人材教育で提携した。優秀な学生を受け入れる。給料より『面白いことができる』ことをアピールしたい。AIはいろいろと誤解されるし、扱う技術者の倫理なども問われる。アベジャの仕事を通して教養面、いわゆる『リベラル・アーツ』を養える。限られたリソースの中で、企業の魅力を出していく」

日刊工業新聞2018年3月30日

石橋 弘彰

石橋 弘彰
04月01日
この記事のファシリテーター

アベジャプラットフォームも他のAIシステム同様、中小企業への普及が課題だ。コストや人材面で余力がなくても導入できるようにするには、AI技術の導入をあらゆる面で支援する組織の設立も必要だろう。アベジャは深層学習の産業利用を促す団体に参画している。日本のAI業界をけん引する立場としてもアベジャの重要性が増している。

この記事にコメントする

  

ファシリテーター紹介

記者・ファシリテーターへのメッセージ

この記事に関するご意見、ご感想
情報などをお寄せください。