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シャープから独立2年、新生・新潟電子工業「生き残っていける」

4月から社名変更、岡崎社長に聞く。LED照明とアナログ電源を強化
シャープから独立2年、新生・新潟電子工業「生き残っていける」

岡崎淳社長

 シャープ新潟電子工業(新潟市南区、岡崎淳社長)は、4月1日付で「新潟電子工業」に社名変更する。経営者による企業買収(MBO)でシャープから独立して2年。発光ダイオード(LED)照明を中心とするODM(相手先ブランドによる設計・生産)メーカーとして、名実ともに自立の道を歩み始める。岡崎社長に社名変更を決めた背景や今後の戦略を聞いた。

 ―社名変更の狙いは。
 「シャープとの資本関係がなくなってからの2年間で、シャープ向けの売上高が徐々に減少し、現在では全体の数%になっている。対外的な認知度も高まり、自力で経営できると判断した」

 ―力を入れる製品、分野は。
 「LED照明向けのODM事業と、それを支えるアナログ電源を強化する。強みは営業・製品企画からサービスまでのバリューチェーンがあること。大手メーカーが嫌がる多品種少量・短納期の製品にビジネスチャンスを見い出し、きちんと利益を出せるように生産体制を工夫している」

 ―LED照明の需要は今後も拡大しますか。
 「すでに普及率が高い家庭向けとは異なり、産業向けはまだまだ。大型投光器の分野での普及率は10―20%にすぎない。工場やビル、商業施設などでも蛍光灯を使っているケースが多い。価格に関しても家庭用は値崩れしているが、産業用はまだ安定している。今後4―5年はビジネスチャンスが見込める」

 ―台湾や中国の競合メーカーとどのように差別化を図りますか。
 「日本製として品質への信頼性の高さがあることと、ビジネスモデルの違いを打ち出すことだ。コモディティー化する製品では価格が下がり海外勢の方が強みを持つ。一方、LED照明の分野では技術面で今後も進歩が見込めるほか、多品種でロット生産、信頼性が求められるため我々も十分生き残っていける」
(聞き手=新潟支局長・古谷一樹)
日刊工業新聞2018年3月28日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
シャープからの独立後も業績は好調で、経営基盤は安定化している。取引先が200社まで増え、18年3月期はシャープ向け以外の売上高が24億円となる見通し。今後も年5―10%の増加率を目指す。国内でのニッチ分野や海外の需要を確実に取り込むことが、成長持続を左右しそうだ。 (日刊工業新聞新潟支局長・古谷一樹)

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