眼疾患「クリスタリン網膜症」発症の仕組み、iPS細胞で解明

創薬研究の進展が期待

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写真はイメージ
 京都大学医学部付属病院の畑匡侑(まさゆき)助教と池田華子准教授らは、失明に至る眼疾患「クリスタリン網膜症」(BCD)の発症の仕組みを、患者由来のiPS細胞(人工多能性幹細胞)を用いて突き止めた。進行を抑制する治療薬の有力候補も発見した。理化学研究所と京大iPS細胞研究所、新潟薬科大学との共同研究。BCDの創薬研究の進展が期待できる。

 研究グループは、BCDの原因遺伝子に変異を持つ患者3人からiPS細胞を作製し、網膜色素上皮細胞へ誘導した。健常な細胞と比べ、細胞の空胞形成や色素沈着などの変性が強くなり、徐々に細胞死が引き起こされた。

 細胞内消化を担う小器官リソソームの機能障害による、オートファジー(自食作用)分解系障害が関与しているとみて、患者由来細胞内の脂質をくわしく解析。すると遊離コレステロールの増加を確認した。

 希少疾患で代謝異常を引き起こす「ライソゾーム病」と類似した仕組みとみて、遊離コレステロール減少作用を持つ化合物シクロデキストリン誘導体を投与した。すると細胞変性の抑制を確かめた。

 シクロデキストリン誘導体はライソゾーム病の一つ、ニーマンピック病C型の治療薬として開発が進められている。今後、眼疾患への投与法を検討する。

 BCDは進行性遺伝性網膜変性疾患の一つで、有効な治療が見つかっていない。
                

日刊工業新聞2018年3月27日

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明豊
執行役員 DX担当
デジタルメディア局長

成果は米国科学アカデミー紀要誌電子版にも掲載される

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