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「セブンカフェ」はなぜ美味しく早いのか? チームMDの秘密に迫る
広がるセブン―イレブンの“コーヒー経済圏”(前編)
富士電機が技術改良を繰り返した「メンテナンス」と「45秒」
マシン開発の要請を受けた富士電機。実際、店頭に設置する上でいくつかの課題に挑戦しなければならなかった。豆を挽いてから抽出までを短時間にやること。さらに加盟店のアルバイトから年配の経営者までが扱えるようにメンテナンスを簡単にすることである。
富士電機営業本部の砂山恵子課長補佐は、「コーヒー豆は機材のなかでミルで挽いて抽出しますが、機材をキレイに保たないと味に違いが出てしまいます。粉が詰まらないようにして、掃除のしやすさを追求するなど取り扱いやすいように改良を重ねました」と話す。
豆を挽いてから抽出まで、通常一回お湯を入れて40秒くらい蒸らさないとおいしくならない。かといって顧客が店頭で待てる時間にも限界がある。蒸らす工程を短くし、おいしく抽出して顧客が飲めるまでの時間を45秒に短縮した。
味の素ゼネラルフーズを加えた3社共同開発チームが「いける!」と確信
セブンイレブン、富士電機、味の素ゼネラルフーズのチームマーチャンダイジング(共同開発チーム)は何度も会合をもち、豆の配合や焙煎具合、マシンの調整、修正に取り組んだ。豆、機材、マーケティングという三位一体となって完成した「セブンカフェ」。セブンイレブンは商品のテスト販売を繰り返し「これはいける!」と確信。そして13年1月から一気呵成の導入が始まる。
実質6-7カ月という短期間で1万7000店に導入したが、マシンを供給する富士電機にはかつてない経験。営業本部の秋本哲課長は「セブンさんのスケジュールに合わせて月産2000台を作るのは高いハードルだった。それをきっかけに社内では、製造から現場への設置、保守メンテのところまで一体感を持ちながらスピードも出せるようになった」と証言する。セブンイレブンとの取り組みは組織的にプラス効果をもたらしたのは間違いない。
昨秋に早くもリニューアル。渋皮をとるコストはかかっても後味の良さ追求
3年目に入ったばかりのセブンカフェは早くも昨秋にリニューアル。豆はスッキリ、後味がいいことを追求してきたが、さらに渋皮をきれいにとりのぞいてスッキリ感を向上させたという。コクが薄まってしまうので焼きを強くしてコクを出すようにしたが、渋皮を一枚とる工程が発生する。コスト増にはなるが、コクとすっきり感が強くでるようになり顧客満足度はさらに高まった。結果的に販売量が伸びコストは吸収できる。
これで8億5000万杯に向けドライブをかけていく体制は整った。「セブンカフェ」はまさにセブンイレブンが顧客のニーズをつかみ、メーカーがそれを具現化するという革新的な流通業のあり方を示している。
(後編は7月21日に公開予定)