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アルパイン・アルプス統合、株主提案の行方

 香港のヘッジファンド、オアシス・マネジメント・カンパニーはアルパインとアルプス電気の経営統合計画の見直しに向けて、新たな一手を打ち出す。6月のアルパインの定時株主総会に向けて特別配当の実施と一部取締役の再選に反対する株主提案を計画。同時にオアシスは委任状争奪戦に備え、他の株主と対話も進めている。オアシスは日本企業に対して存在感を高めており、アルプスとアルパインもさらなる対応が迫られそうだ。

 オアシスの主な提案は1株当たり約425円の特別配当の実施と、社外取締役再選の反対。アルプスとアルパインは2019年1月に経営統合を計画するが、オアシスは計画の評価金額や交換比率の見直しなどを求めて反発。経営統合の発表以降、双方の主張は平行線をたどっていた。

 セス・フィッシャーオアシス最高投資責任者(CIO)は「大株主としてアルパインに面会を求めているが、17年9月以降から面会を断られている」と現状打破に向けて、株主提案の検討に踏み切った。

 また、フィッシャーCIOはアルパインの株主総会に向けて、他の株主へ賛同を呼びかけていることも明らかにした。委任状争奪戦に備え、他の株主とも意見交換を実施しており、すでに「発行済み株式数の3分1以上から賛同を得られる可能性がある」とする。

 オアシス以外でも、「物言う株主(アクティビスト)」は市場に対して存在感を高めている。米ゼロックスの大株主カール・アイカーン氏やアサツーディ・ケイの株主、英シルチェスター・インターナショナル・インベスターズも評価額などに異議を唱えている。

 日本市場でアクティビスト対策は重要な経営課題になりつつある。
                  

日刊工業新聞2018年3月13日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
アルパインの6月に提示株主総会で委任状争奪戦が予想される。

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