グーグル、72量子ビットの量子プロセッサー開発

エラー率低減で、「スパコン超え」実現目指す

 米グーグルの量子AIラボは5日、超電導状態で稼働する72量子ビットの量子プロセッサーを開発したと発表した。グーグルではこのプロセッサーをもとに課題となっているエラー率の低減などの研究に取り組みながら、量子コンピューターが従来のスーパーコンピューターの処理能力を超える「クオンタム・スプレマシー」(量子超越性)の実現や量子電算機の大規模化を狙う。

 「ブリスルコーン(Bristlecone)」と名付けたプロセッサーで、米ロサンゼルスで3月5~9日に開催中の米物理学会(APS)の年次会合で発表した。グーグルは2014年に9量子ビットのプロセッサーを発表し、データの読み出しで1%、1量子ビットゲートの場合に0.1%、2量子ビットゲートで0.6%と低いエラー率を報告していた。その9量子ビットでの技術をベースに、素子を正方形に72個並べたプロセッサーを今回製作した。

 量子コンピューターは量子力学の重ね合わせの原理を利用し、素因数分解や量子化学計算といった難しい計算を、現在のスーパーコンピューターより高速に処理することができる「夢のコンピューター」として、早期の実用化が期待されている。

 ただ、実際の量子コンピューターでは、「0」と「1」の状態を重ね合わせた「量子ビット」の素子がわずかにエラーを持ち、こうした量子ビットをいくつも組み合わせて計算を続けていくと間違った計算結果につながってしまう。

 そのため、必要に応じて誤りを訂正する機構が必要になり、量子コンピューターを大規模化すればするほどエラー訂正機構も大きくなることから、計算のパフォーマンスが上がりにくくなるジレンマを抱えていた。エラー率をいかに小さくするかが量子コンピューターを大規模化する上で最大の課題の一つとなっている。

 グーグル量子AIラボでは16年、49量子ビットの量子コンピューターであれば量子超越性が理論上は実現可能という内容の研究論文を出していた。その予測はまだ実現していないが、「ブリスルコーン」を実験台に量子コンピューターでのエラー率の低減と大規模化、さらにシミュレーションや機械学習などの応用研究に活用を進めていく。

2018年3月7日付日刊工業新聞電子版
グーグルの公式ブログ

藤元 正

藤元 正
03月08日
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「クオンタム・スプレマシー」という言葉が先走っている感じだが、課題を抱えながらも量子コンピューターの実用化に向けた研究は着実に進んでいきそう。IBMも大学や産業界と協力し、オープンイノベーション方式での商用ベースの量子コンピューター実用化を狙っている。競争がイノベーションを加速する。

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