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「道の熱冷まし」五輪に向け急ピッチ

東京都、遮熱塗料など駆使し舗装道路の暑さ対策
「道の熱冷まし」五輪に向け急ピッチ

夏場は約60度Cの高温となる路面の温度上昇を抑制するため遮熱性塗装を吹き付け、暑さ対策を実施していく


インタビュー 中村俊行クール舗装研究会会長「性能高めコスト下げる」


 東京都内の道路は国道、都道、区道、首都高速道路など、さまざまな種類がある。それぞれの道路には直轄の道路管理者が舗装の種類を決め、入札を経て施工事業者が実施している。都と共同で遮熱性舗装などの研究を進める路面温度上昇抑制舗装研究会(通称、クール舗装研究会)の会長を務める中村俊行大成ロテック(東京都新宿区)顧問に活動状況について聞いた。

 ―クール舗装研究会の使命、役割とは。
 「02年に道路舗装会社などが立ち上げた保水性舗装技術研究会と、03年設立の遮熱性舗装技術研究会の両会が11年に統合し、発足した。会員社数は現在25社。暑熱環境の改善と快適環境を提供するのが使命だ」

 ―遮熱性舗装の特徴は。
 「ベース塗料を塗り、滑り止め材を散布した上に路面の明度が40程度の基準カラー(灰色)を塗布する。色によっても路面温度の下がり方が違う。色合いなども含め、検討課題は多い」

 ―施工実績は。
 「遮熱性舗装は14年度までに累計170万平方メートル、保水性舗装は同91万平方メートル実施した。遮熱性も保水性も舗装の技術開発や技術力向上について都と共同で行っている」

 ―遮熱性舗装の課題とは。
 「さらなる性能の向上とコストを下げることだ。一般的な舗装施工と比べ、遮熱性コートは高価。塗り直さずにすむような耐久性を高めた遮熱コートの開発なども進めたい」

 ―今後の展開は。
 「舗装そのものを保水性や遮熱性にして路面温度を下げれば、わだち掘れの量が半分に減るなど道路自体の耐久性が高まり、壊れにくくなる。環境に優しい。地方都市や大都市中心部に使ってもらえるよう普及に努めたい」
 (聞き手=大塚久美)
日刊工業新聞2015年06月29日 中小・ベンチャー・中小政策面
斉藤陽一
斉藤陽一 Saito Yoichi 編集局第一産業部 デスク
かつての環境担当の記者時代に「路面温度を下げるには『遮熱』とともに『保水』」も重要な要素」と取材で聞いた記憶があります。もう5年以上前の取材ですが、いわゆる「打ち水効果」を長く持続させるため、蓄えた水をゆっくりと蒸発することのできる多孔質材などの開発が進んでいるとのことでした。今回の記事は遮熱技術の動向がメーンですが、保水技術の最新動向も知りたくなってきました。

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