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“投資の道具”に監督官庁がノー!倒産に追い込まれた太陽光業者

電現ソリューション、個人投資家向けの分譲販売が困難に
 電現ソリューションは2011年2月の設立。一般住宅向けに太陽光発電パネルを訪問販売していたが、太陽光発電所を開発して発電システムと土地をセットにして個人投資家に分譲販売すると急成長。16年1月期の売上高は約53億9100万円を計上した。

 しかし14年4月、経済産業省・資源エネルギー庁は、原則として太陽光発電所の「分割案件」を以後認定しないこととしていた。安全規制や確保規制から逃れるために分割案件の悪用が指摘されたためだ。同社のビジネスモデルもこれに該当しており、個人投資家向けの分譲販売が困難となる。

 経験豊富な役員を外部から招聘(しょうへい)していたが、社内体制は未熟だった。太陽光発電所の売却後に用地の不備が発覚し、購入者から損害賠償が請求される。

 また同社が組成する特別目的会社に147件もの太陽光発電所を保有させ、その会社を投資企業に売却する契約を締結したものの、一部しか売却が実現しなかったため13億5000万円の違約金を支払う羽目となった。あるグループには顧客紹介料として総額5億3000万円を支払っている。資金繰りが逼迫(ひっぱく)するのは当然だった。

 しかも17年3月16日、東京国税局査察部(マルサ)が調査に入ったことで、内諾を受けていた融資が金融機関から下りなくなり、10月10日に東京地裁より破産手続き開始決定を受けた。

 節税商品や投資商品は、監督官庁の規制により販売動向が大きく左右される。そうした意味では、メガソーラーへの投資はバブル時代に一世を風靡(ふうび)したワンルームマンション投資と重なって見える。損益通算制度の改正とともにワンルームマンション業者は総崩れし、今は跡形もない。電現ソリューションの一般債権者数は351人。このうち個人投資家らしい10万円程度の小口債権者は175人前後と半数を占める。
(文=帝国データバンク情報部)
【会社概要】
電現ソリューション(株)
住 所:東京都青梅市野上町4-4-2
登記面:東京都港区赤坂2―12―31
代 表:岩崎聡樹氏
資本金:2000万円
年売上高:約32億6500万円(17年1月期)
負 債:約15億5000万円
日刊工業新聞2017年12月26日
松木喬
松木喬 Matsuki Takashi 編集局第二産業部 編集委員
取材したことのある会社です。分譲とは敷地1カ所に何十件もの発電所をつくり、1件1件にオーナーを募集する手法のことです。本当は大型(高圧)発電所の土地なのに、1件1件は小型(低圧=住宅用も)発電所。低圧だと規制が少なく、完成後の運用が楽です。法律の穴をつくような商法です。こういう案件が横行すると太陽光がただの金儲けの道具になり、イメージ悪化になります。当時は違うプロジェクトの取材でしたが、こういう会社だったと知らず、記事にしてしまったことを反省しています。それにしても制度の不備が出るとすぐに見直す経産省、対応が素早いです。

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