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神戸高専が壁面に張り付くドローン開発。トンネル検査に威力発揮

神戸高専が壁面に張り付くドローン開発。トンネル検査に威力発揮

壁面に吸着しプロペラを止めたドローン(神戸高専提供)

 神戸市立工業高等専門学校の清水俊彦准教授らは、真空グリッパーで壁や天井に張り付くドローン(飛行ロボット)を開発した。ドローン本体に吸引ポンプを積み、壁面に吸盤を吸いつけて機体を固定できる。実験では1時間吸着できた。固定中は飛行時よりも反力の大きい仕事が可能となる。トンネル壁面の打音検査などへの応用を想定しており、3年程度で実用化を目指す。

 ドローンの側面にグリッパーを搭載した。このグリッパーに吸着対象に合わせた変形機能と、真空吸引機能を持たせた。吸盤内の真空が保たれている間はドローンのプロペラを止めて節電できる。ガラス面など凹凸の度合いが少ない面を選べば、1時間以上張り付けることもできるという。今後、負圧を計測するセンサーと自動吸引機能を搭載する。

 さらにドローンに有線で給電すれば吸着時間の制限はなくなる。機体を壁や天井に固定できると、打音検査用の打診棒を振るような力作業ができる。プロペラを止めて打音を聞き分けるなどの用途に向く。

 100キログラムの重量を支えるグリッパーは開発済みで、機体の大型化には対応できる。一般に吸着重量が大きくなるほどポンプが大きくなり、地上にポンプを配置して高所のドローンにつなぐと、吸引効率が下がる課題があった。ドローンの可搬重量や真空ポンプの配置を工夫して、現場に応じたシステムを構成していく。



日刊工業新聞2017年12月27日
昆梓紗
昆梓紗 Kon Azusa デジタルメディア局DX編集部 記者
「ただ飛ぶだけ」ではないドローンが増えてきました。これからもアイデア次第でドローンの活用法が広がりそうです。

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