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【今週のリケジョ小町】工場の安全を支える

中央労働災害防止協会 井上 舞香さん
**化学物質の人体への影響を分析
化学物質の種類は約6万ともいわれ、労働安全衛生法に基づく新規化学物質の届け出も年間で1000件を超えるとされる。中央労働災害防止協会(中災防)の井上舞香さん(26)は、化学物質の人体への影響を分析する仕事に携わる。工場や研究所に勤務する人が安心して仕事に臨むためにも、責任が大きい。会って話をしたことがない人であっても「異常がない結果だと、こちらも安心してうれしくなる」と笑顔を見せる。

小学生の時から水質分析


「岡山県の出身です。小学生の時から、自由研究で自宅近くにある川の水質分析をするなど理科が好きでした。岡山理科大学理学部に進学し、化学物質で有害なホルムアルデヒドの分析をしました。雨や海水、水道水に含まれるホルムアルデヒドを分析するため、オリジナルの試薬の合成に取り組みました」

「長時間に及ぶため、泊まり込みになることもあります。夜のキャンパスの静けさは、今でも思い出として残っています。合成には14―15時間ほどかかりましたが、従来品より安全な試薬を開発できました」

「岡山理科大学大学院理学研究科を修了後、2016年に中央労働災害防止協会に入りました。現在は工場や研究所などで有機溶剤などの化学物質を取り扱う作業者が、どの程度ばく露したかを知るために、作業者の尿中に代謝される化学物質を分析する仕事に取り組んでいます」

現場の人たちとコミュニケーションを


「17年10月に第二種作業環境測定士に合格しました。今後は工場など現場に行き、作業環境測定を行うことが増えると思います。現場の人たちとしっかりとコミュニケーションを図りながら、勉強して理解を深めたいです」

「休日は手作り雑貨の即売会に行き、コップやキーホルダーを集めています。幼いころは絵を描くのが好きで、現在は気分転換に小説を書いています」
 
日刊工業新聞2017年12月04日
昆梓紗
昆梓紗 Kon Azusa デジタルメディア局DX編集部 記者
小学生の頃から環境を守るようなことに興味を持ち続けているのはすごいですね。

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