あっさりITバブル超え―。当時と“アベノミクス株高”の違いは何か?

「一部銘柄突出から全業種まんべんなく」、「株主還元・対話に前向き」、「賃金上昇・設備投資活発化」・・

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24日、株価が一時2万900円台に
 アベノミクス景気がITバブルを超えた―。24日の日経平均株価は、ITバブル時の最高値だった2000年4月12日の終値2万833円21銭を超え、終値2万868円03銭となった。1996年12月5日以来の高値だ。4月1日(終値1万9034円)からの3カ月弱で日経平均株価は約9・6%上昇したが、市場では「00年と違い過熱感は少ない。実体経済の強さを素直に反映した結果」との見方が大勢を占める。ITバブルと今回の株高の違いはどこにあるのか。各種指標を見つつ要因を分析した。
 
 【PER低下/株主還元 投資呼び込む】
 ITバブルと現在の大きな違いは、上場企業の株価収益率(PER)に見て取れる。00年2月の東証1部を見ると、時価総額トップ50社の中央値は約57倍。企業別ではボーダフォン(現ソフトバンクモバイル)の1106倍や光通信の480倍など一部の銘柄が突出する一方、NTTデータや東芝がマイナスになるなどバラつきが目立つ。

 15年6月の東証1部上場企業の時価総額トップ50社では、PER中央値は19倍だ。キーエンスが130倍とやや突出しているが、大半の企業が40倍以内に収まっている。時価総額の構成比の変化も特徴的だ。98年12月から00年2月にかけては「電機・精密」の東証1部全体に占める割合が15・7%から21・81%に6・11ポイント上昇、「情報通信・サービスその他」は10・8%から22・93%と12・13ポイント上昇している。

  一方12年10月から15年6月の変化を見ると、最も上昇している「自動車・輸送機」でも1・34ポイントの上昇にとどまる。00年当時はエレクトロニクスや情報通信関連など「IT銘柄」が市場をけん引したが、今回は全業種がまんべんなく上がっていることがわかる。
 
 【進化する企業統治】
 ITバブル時との、もう一つの大きな違いは企業の株主構成や統治方針の変化だ。00年当時は銀行による上場企業株の保有が多かった。銀行は融資の返済が滞らないことが主な目的であり、株価の変動に対しては興味が薄かったため、企業は株主還元策に無頓着になっていた。その後、銀行が保有する株の放出が行われたが、株主還元に乏しい日本株は投資家にとって魅力が乏しく、長い株価低迷期を招いた。

 今回は政府主導で企業統治の透明化・向上を目指していることもあり、企業自身も株主還元や対話に前向きだ。長年、投資家向け広報(IR)に消極的とされていたファナックが株主対応窓口を設け、連結配当性向を2倍にすると発表したことは、日本企業の変化を象徴している。上場企業各社では、株主目線の目標と言える株主資本利益率(ROE)を経営目標に据える動きも続いており、これも投資家から評価されている。

 投資に対するリターンの割合を示した予想配当利回りは、東証1部全体で00年2月が0・62%だったが、15年5月は1・94%に上昇した。企業が株主還元に積極的になっていることの裏付けだ。
 

日刊工業新聞2015年06月25日深層断面

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