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自動操舵の国際基準を日本が採用、「レベル2」普及後押し

国交省が決定、新型車は2019年10月から
自動操舵の国際基準を日本が採用、「レベル2」普及後押し

国際基準の導入は、自動運転の社会実装を近づける(自動車の運転イメージ)

 国土交通省は自動車の自動操舵(そうだ)機能について、ハンドルを握った状態での車線維持支援や補正操舵、自動駐車に関する国際基準を導入する。これまで国内基準はなかったが、国連の自動車基準に関する会議で策定された内容を採用する。基準は運転者の責任下で、システムが複数の運転支援を行う「レベル2」の自動運転を前提とした内容となる。自動運転の社会実装(普及)に向けて一歩前進する。

 自動操舵機能に関する基準については、国連の自動車基準調和世界フォーラム(WP29)が策定した。国交省は同基準を取り入れるため、道路運送車両の保安基準の告示を一部改正。新型車は2019年10月から、継続生産車は21年4月から適用対象とする。

 基準の適用項目の一つが補正操舵機能だ。補正操舵は、車両が突然かつ予想外に横方法に向かう力を補正する機能。車両の安定性を向上し、車線の逸脱などを防ぐ。

 基準の適用要件として、運転者が50ニュートン以下の力で操作可能とする。補正操舵の作動時には運転者に視覚的に知らせる必要がある。

 補正操舵の作動が10秒を超える場合は警報音を鳴らす。運転者が180秒間ハンドル操作せず、補正操舵が2回以上作動する場合も警報音を発生させる。3回目の時は、2回目までよりも10秒以上長く鳴り続けるようにする。

 車線維持機能の基準については「最大横加速度」を普通車と大型車で、走行速度により細かく規定した。狙いは「急にハンドルを切りすぎないようにすること」(国交省)。

 運転者が車線維持システムのオン/オフをできるほか、50ニュートン以下の力で操作可能とする。システムの作動中は、運転者に表示し、システムが一時的に動作不能や故障した場合は運転者に知らせる。

 運転者が手放し運転した場合の警報も規定した。最大15秒で視覚的に知らせ、同30秒で視覚と警報音で運転者にハンドルを握る、またはシステムを切るかを促す。

 さらに警報音が30秒以上続いた場合(手放しで1分間経過した場合)は5秒以上の緊急信号を発し、システムをオフにする。

 このほか、自動駐車機能では、原則10キロメートル以下で作動し、運転者が動作をいつでも終了可能にすることなどを規定。リモコン駐車による基本的な機能も示した。
日刊工業新聞2017年11月24日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
国交省は各機能の基準導入について「すでに一部の車両で装備されており、技術が成熟してきた。基準導入により、車両の安全に寄与する」と安全車両の普及につなげる考えだ。 (日刊工業新聞第二産業部・村山茂樹)

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