アサヒビール、パーティーサーバーが飲食店営業の切り札に

楽しさだけじゃなく、人手不足の解消効果も

 アサヒビールは、顧客が、クリーミーな泡のついた樽(たる)生ビールを自分で注ぎながら楽しめる、飲食店向け「パーティーサーバー」を開発。2016年10月から首都圏・近畿圏・北海道圏で導入を始め、17年から全国に広めている。

 アサヒビールのビール販売(数量ベース)で、飲食店向けは約半分を占めるが、消費マインドの低迷に加え、人手不足による人件費の上昇もあって、厳しい環境にある。同社はこのサーバーをクリスマス、忘年会などパーティーシーズンの宴席の戦略的な小道具として、顧客の満足度向上支援に充てる。

 パーティーサーバーは、外見はポットに似た形状で、真空断熱構造による保冷機能と完全密閉構造による炭酸維持機能を兼ね備える。室温25度Cでの実験で、2時間後も温度上昇は1度C程度という。

 電池駆動エアポンプの採用により、電源コードをつなぐことなく、飲食店で顧客のテーブルに設置できる。独自開発のクリーミーな泡付け機構と相まって、客がテーブルにいながら、簡単なレバー操作で本格的な樽生ビールを注げる仕組みになっている。

 泡付けや保冷機能もピッチャーにはない仕掛け。研究所と営業のメンバーが試行錯誤を繰り返し生み出したものだ。サーバーの容量は約2.8リットルで、5―6人の団体客が主対象。

 生き残り競争の激しい飲食店業界では、扱いビールも営業努力で他社商品に取って代わられるケースが頻繁に起きる。アサヒビールはこれまで、飲食店向け支援ツールとして、氷点下温度にビールを冷やす「エクストラコールド」、ドリンクメニュー表にそのまま使える画像、樽生ビールを最後まで使い切れる機器などを提供してきた。

 自社ビールの飲食店顧客維持に向け、売り上げ増に結びつく“飲食店の付加価値”を高める戦略機器やサービスを提供し続けることも重要となる。

 飲食店にとって、パーティーサーバーの魅力は、顧客が自分でビールを注げる娯楽性に加え、人手不足の解消効果も期待できることだ。顧客が自分たちでビールを注げば、店員がテーブルを回る回数が減り、ひいては人員削減にもつながる。
(文=嶋田歩)

日刊工業新聞2017年11月17日

明 豊

明 豊
11月19日
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 キリンビールも今年、NTTデータと協力し飲食店でビールが注がれている量を、センサーでリアルタイムに把握できるシステムを開発している。蓄積したデータを解析して、ディスペンサーを交換する時期の判断やビールの仕入れ注文などに生かすという。飲食チェーンのIoT活用はまだまだ可能性がありそう。

 

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