釣り用品プラス成長!海外でも評価される釣り糸に込められた技術
“とがった”製品、「第4の素材」も
年間を通して楽しめるレジャー「釣り」。一時に比べ釣り人口は大幅に減少したが、ここ数年は700万人前後と横ばいに推移する。日本釣用品工業会(東京都中央区)が今年まとめた調査では、釣り用品の2015年国内出荷規模は4年連続のプラス成長。釣り用品の中でも、釣り糸は魚のヒットを左右する重要な用品だ。釣り糸にかける国内メーカーの動向を追った。
釣り糸の素材は大きくナイロン、PE(ポリエチレン)、フロロカーボンの3種類。一時のナイロン素材から、高強度で魚の当たりが分かりやすいPE素材へとニーズが変化している。国内で釣り糸を販売するメーカーは70数社ほどとされるが、糸の開発から販売までを手がけるメーカーは少ない。
東レ・モノフィラメント(愛知県岡崎市)はその1社で、本社工場で釣り糸の一貫生産を行う。「釣り糸にはでこぼこのない均一性が強く求められる」と山崎一彦取締役は強調。安定品質を保てるから、日本製の釣り糸は「海外でも評価を受けている」と胸を張る。
国内生産だからこそ可能な“とがった”製品も出ている。兵庫県加東市の工場で釣り糸を生産するゴーセン(大阪市西区)は、ナイロン製釣り糸で断面を星形にし、さおの糸を通すガイドリングとの摩擦を減らす商品を展開。PE製釣り糸では、リールでの巻きが従来よりなめらかになる「16本組み」に挑戦する。
東洋紡は釣り糸の原料となる高強力ポリエチレン繊維「イザナス」を国内生産する。国内で主流のPE製釣り糸の8割はイザナスが原料という。釣り糸メーカーが海外販売を加速したのも追い風に「釣り糸用途は12年以降、毎年10%増の状況」(藤井俊哉スーパー繊維事業総括部長)。6月には耐摩耗性を向上した第3世代イザナスを発売した。早期により強度に優れた新素材も投入予定だ。
釣り糸でPE素材の勢いが高まる中、第4の素材を模索する動きも出てきた。ゴーセンは「“ポストPE”を早く出したい」(淺山英明執行役員)とする。ユニチカは宇治事業所(京都府宇治市)で釣り糸を生産するが、次世代品で性能を発揮できるポリマーを探索中。産業繊維事業部の赤松久史繊維資材営業部長は「20年までには作りたい」と開発に意欲を燃やす。
地味な存在ともいえる釣り糸メーカーだが、メード・イン・ジャパンに誇りを持ち、ユーザーにいいものを提供したいという思いが強い。メーカーの熱い挑戦は続いている。
(文=大阪・日下宗大)
「人口」は横ばい
釣り糸の素材は大きくナイロン、PE(ポリエチレン)、フロロカーボンの3種類。一時のナイロン素材から、高強度で魚の当たりが分かりやすいPE素材へとニーズが変化している。国内で釣り糸を販売するメーカーは70数社ほどとされるが、糸の開発から販売までを手がけるメーカーは少ない。
東レ・モノフィラメント(愛知県岡崎市)はその1社で、本社工場で釣り糸の一貫生産を行う。「釣り糸にはでこぼこのない均一性が強く求められる」と山崎一彦取締役は強調。安定品質を保てるから、日本製の釣り糸は「海外でも評価を受けている」と胸を張る。
国内生産だからこそ可能な“とがった”製品も出ている。兵庫県加東市の工場で釣り糸を生産するゴーセン(大阪市西区)は、ナイロン製釣り糸で断面を星形にし、さおの糸を通すガイドリングとの摩擦を減らす商品を展開。PE製釣り糸では、リールでの巻きが従来よりなめらかになる「16本組み」に挑戦する。
東洋紡は釣り糸の原料となる高強力ポリエチレン繊維「イザナス」を国内生産する。国内で主流のPE製釣り糸の8割はイザナスが原料という。釣り糸メーカーが海外販売を加速したのも追い風に「釣り糸用途は12年以降、毎年10%増の状況」(藤井俊哉スーパー繊維事業総括部長)。6月には耐摩耗性を向上した第3世代イザナスを発売した。早期により強度に優れた新素材も投入予定だ。
第4の素材
釣り糸でPE素材の勢いが高まる中、第4の素材を模索する動きも出てきた。ゴーセンは「“ポストPE”を早く出したい」(淺山英明執行役員)とする。ユニチカは宇治事業所(京都府宇治市)で釣り糸を生産するが、次世代品で性能を発揮できるポリマーを探索中。産業繊維事業部の赤松久史繊維資材営業部長は「20年までには作りたい」と開発に意欲を燃やす。
いいもの提供
地味な存在ともいえる釣り糸メーカーだが、メード・イン・ジャパンに誇りを持ち、ユーザーにいいものを提供したいという思いが強い。メーカーの熱い挑戦は続いている。
(文=大阪・日下宗大)
日刊工業新聞2017年11月14日