地方独自の機能性食品、ブランド力向上へ知恵絞る
沖縄が認証の新制度。先駆け北海道は?
沖縄県健康産業協議会(那覇市、大道敦会長=ポイントピュール社長)は、健康食品の認証制度「ウェルネス オキナワ ジャパン」を新設した。機能性や「沖縄らしさ」を基準に審査、認定する。2018年4月に開始し、早ければ9月に最初の認定商品が登場する。
認証は県内外や海外に向けたブランド力を高め、販売強化につなげるのが目的。同協議会の会員企業を対象とする。まず加工食品と栄養補助食品に限定し、将来は化粧品や農産物も含む考え。3年間で30社の商品登録を目指す。有識者で構成する第三者機関で審査する。製品の独自性を評価した上位の「プレミアム」も設ける。
機能性の証明報告がある成分、素材として想定しているのは、もろみ酢などのクエン酸、パパイアや発酵食品のγ―アミノ酪酸(ギャバ)、シークワーサー、モズクなど。
県内の関連業者の売り上げ規模は16年度約95億円と、ピークの04年度の200億円から半減している。大道会長は「ブランド構築により差別化する。沖縄に素材自体は50―100種類ある。優秀な商品を出し、まずはピークの規模まで近づけたい」としている。
一方、北海道独自の「北海道食品機能性表示制度」(愛称=ヘルシーDo)が新たな局面を迎えている。「北海道フード・コンプレックス国際戦略総合特区」(フード特区)の再認定や、ヘルシーDoも開始から5年目を迎えた。認知度や販路での課題もあるが、地道な活動を続ける中で着実な成果もみせつつあり、北海道の食産業拡大に向けて知恵を絞っている。
北海道は食品の輸出拡大などを目指し、食産業の国際競争力強化に取り組むフード特区として2012年に認定され、17年4月から5年間の再認定も受けた。
全国の自治体の中で先駆けて、13年4月に始めたヘルシーDoは、加工食品に含まれる機能性成分に関して「健康でいられる体づくりに関する科学的な研究」がされた事実を北海道が認定する。機能性成分を使った健康に資するとされる加工食品を北海道の独自ブランドとして事業展開を後押ししている。
北海道経済部食関連産業室研究集積グループの臼杵誠主査は「ヘルシーDoを知ってもらうことと販路開拓に力を入れたい」と力を込める。9月のヘルシーDo第9回認定で3社3品目が追加され、認定商品は累計44社81品目となった。第9回では日本コカ・コーラの「紅茶花伝 すっきりハスカップティー」などが加わり、臼杵主査は「大企業に入ってもらったのはありがたいこと」と歓迎する。大手卸売企業がヘルシーDoの認定商品に興味を示すようになったといい、今後の販路拡大にも明るい兆しがみえる。
安定的な小売りの拠点ができたこともプラスだ。サツドラホールディングスは、6月に道産品を中心に提供するセレクトショップ「北海道くらし百貨店」を札幌市内に開設した。ヘルシーDoの認定商品を陳列するコーナーも設置された。「ここに行けば、ヘルシーDoの認定商品が買えると言える場所ができた」(臼杵主査)。那覇市内で、11月2日に開く2号店でもヘルシーDoの認定商品を扱う。
ヘルシーDoの認定商品を持つ企業などで構成する「ヘルシーDo推進協議会」も小売店への展開や広報活動に力を入れている。道内でイオンなどの店舗を展開するイオン北海道の星野三郎社長は、ヘルシーDoについて「顧客の健康志向は高まっている。道産のものであれば積極的に扱いたい」と語った。ヘルシーDoにとって、追い風の環境でもある。
認知度の強化に向けては、北海道と北海道食産業総合振興機構(フード特区機構)は、新たな訴求の切り口も進めている。アピールの対象とするのが、栄養士や飲食関係の資格者、スポーツトレーナーといった食や健康に関する専門家らだ。9―11月にヘルシーDoの認定商品などを使ったクッキングセミナーを実施している。栄養士らを対象とした9月開催のセミナーは「定員の約20人が参加し、好評だった」(フード特区機構の白戸麻衣連携推進部次長)と話し、食と美容・健康に関するアプローチに手応えも感じている。
ヘルシーDoの認知や販路の拡大には、認定商品数を増やすことも欠かせない。北海道情報大学などによる食の臨床試験システム「江別モデル」を広めていくことも重要とみている。江別モデルは北海道情報大と江別市などが連携し、地域住民ボランティアを被験者として低コストで臨床試験ができるシステムだ。中小企業でも手軽に臨床試験ができ、ヘルシーDoの認定が目指しやすくなる。
北海道情報大の西平順副学長は、「江別モデルで作られた機能性に関する論文も出てきた。北海道らしい素材を使った認定商品が増えていくのではないか」と、成果が実りつつあるという期待感も示す。
札幌圏だけでなく、道内の十勝地域や函館地域などでの臨床試験に関する支援も進めていく考えだ。
(文=札幌・山岸渉)
〈関連記事〉北海道江別市民の健康データ活用、食事メニュー助言のアプリに
認証は県内外や海外に向けたブランド力を高め、販売強化につなげるのが目的。同協議会の会員企業を対象とする。まず加工食品と栄養補助食品に限定し、将来は化粧品や農産物も含む考え。3年間で30社の商品登録を目指す。有識者で構成する第三者機関で審査する。製品の独自性を評価した上位の「プレミアム」も設ける。
機能性の証明報告がある成分、素材として想定しているのは、もろみ酢などのクエン酸、パパイアや発酵食品のγ―アミノ酪酸(ギャバ)、シークワーサー、モズクなど。
県内の関連業者の売り上げ規模は16年度約95億円と、ピークの04年度の200億円から半減している。大道会長は「ブランド構築により差別化する。沖縄に素材自体は50―100種類ある。優秀な商品を出し、まずはピークの規模まで近づけたい」としている。
5年目の「ヘルシーDo」、活動領域広げる
一方、北海道独自の「北海道食品機能性表示制度」(愛称=ヘルシーDo)が新たな局面を迎えている。「北海道フード・コンプレックス国際戦略総合特区」(フード特区)の再認定や、ヘルシーDoも開始から5年目を迎えた。認知度や販路での課題もあるが、地道な活動を続ける中で着実な成果もみせつつあり、北海道の食産業拡大に向けて知恵を絞っている。
北海道は食品の輸出拡大などを目指し、食産業の国際競争力強化に取り組むフード特区として2012年に認定され、17年4月から5年間の再認定も受けた。
全国の自治体の中で先駆けて、13年4月に始めたヘルシーDoは、加工食品に含まれる機能性成分に関して「健康でいられる体づくりに関する科学的な研究」がされた事実を北海道が認定する。機能性成分を使った健康に資するとされる加工食品を北海道の独自ブランドとして事業展開を後押ししている。
北海道経済部食関連産業室研究集積グループの臼杵誠主査は「ヘルシーDoを知ってもらうことと販路開拓に力を入れたい」と力を込める。9月のヘルシーDo第9回認定で3社3品目が追加され、認定商品は累計44社81品目となった。第9回では日本コカ・コーラの「紅茶花伝 すっきりハスカップティー」などが加わり、臼杵主査は「大企業に入ってもらったのはありがたいこと」と歓迎する。大手卸売企業がヘルシーDoの認定商品に興味を示すようになったといい、今後の販路拡大にも明るい兆しがみえる。
小売り拠点、道産品コーナー設置
安定的な小売りの拠点ができたこともプラスだ。サツドラホールディングスは、6月に道産品を中心に提供するセレクトショップ「北海道くらし百貨店」を札幌市内に開設した。ヘルシーDoの認定商品を陳列するコーナーも設置された。「ここに行けば、ヘルシーDoの認定商品が買えると言える場所ができた」(臼杵主査)。那覇市内で、11月2日に開く2号店でもヘルシーDoの認定商品を扱う。
ヘルシーDoの認定商品を持つ企業などで構成する「ヘルシーDo推進協議会」も小売店への展開や広報活動に力を入れている。道内でイオンなどの店舗を展開するイオン北海道の星野三郎社長は、ヘルシーDoについて「顧客の健康志向は高まっている。道産のものであれば積極的に扱いたい」と語った。ヘルシーDoにとって、追い風の環境でもある。
専門家にアピール
認知度の強化に向けては、北海道と北海道食産業総合振興機構(フード特区機構)は、新たな訴求の切り口も進めている。アピールの対象とするのが、栄養士や飲食関係の資格者、スポーツトレーナーといった食や健康に関する専門家らだ。9―11月にヘルシーDoの認定商品などを使ったクッキングセミナーを実施している。栄養士らを対象とした9月開催のセミナーは「定員の約20人が参加し、好評だった」(フード特区機構の白戸麻衣連携推進部次長)と話し、食と美容・健康に関するアプローチに手応えも感じている。
ヘルシーDoの認知や販路の拡大には、認定商品数を増やすことも欠かせない。北海道情報大学などによる食の臨床試験システム「江別モデル」を広めていくことも重要とみている。江別モデルは北海道情報大と江別市などが連携し、地域住民ボランティアを被験者として低コストで臨床試験ができるシステムだ。中小企業でも手軽に臨床試験ができ、ヘルシーDoの認定が目指しやすくなる。
北海道情報大の西平順副学長は、「江別モデルで作られた機能性に関する論文も出てきた。北海道らしい素材を使った認定商品が増えていくのではないか」と、成果が実りつつあるという期待感も示す。
札幌圏だけでなく、道内の十勝地域や函館地域などでの臨床試験に関する支援も進めていく考えだ。
(文=札幌・山岸渉)
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日刊工業新聞2017年11月6、7日