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乳がん検診のあるべき姿とは?GEのウーマンズヘルスのトップが語る

怖さや緊張感をなくすために
 日本人女性の約12人に1人が発症すると言われる乳がん。罹患(りかん)者、死亡者ともに増加を続けており、早期発見につながる医療機器の開発は急務だ。米GEヘルスケアのウーマンズヘルス部門プレジデント兼最高経営責任者のアグネス・ベールジャーニー氏に世界における乳がん検診の現状などを聞いた。

―乳がんは早期の診断・治療が重要です。

「早期診断により最適な治療法を選ぶことができる。死亡率を25―30%低減できたというデータもある。米国では40歳以上の女性は1年に一度、乳がん検診を受けることになっているが受診率は50%程度。乳房用X線診断装置(マンモグラフィー)の検査で多くの人が痛みや不安、居心地の悪さを感じ、検査を受けたがらないためだ。特に日本の受診率は30―40%で欧米の50―80%と比べて低い」

―痛みを軽減した製品も開発しています。

「当社のマンモグラフィー『セノグラフプリスティーナ』は検査時の痛みの軽減に配慮し、受診者に心地よく検査してもらうよう開発した装置だ。撮影台の角に丸みを持たせ、緊張感を和らげるアームレストなども採用した。開発には聖路加国際病院や昭和大学などにも関わってもらい、日本の女性の声も反映した。昨年11月に発売して以来、80台が導入された。受診者から良い評価を得ている」

―受診者自身で乳房の圧迫を微調整できる機能も追加しました。

「欧州の調査では受診者の約8割が怖さや緊張感がなくなったと回答した。同機能で患者も検査に積極的な役割を担ってもらうようになり、力を与えると思う。乳がん検診は本来、心地よいものではない。受診者の経験をどうより良いものにするか。乳がん検診を革新したい」

―超音波診断装置などの有用性は。

「日本人女性の約80%が高密度乳腺(デンスブレスト)であり、超音波検査が有効であることが分かっている。マンモグラフィーも全てのがんを探索できるが、超音波は補完的役割として、より高度にがんを捉えることができる。受診者や医療機関の状況に合わせて、最適な診断手法を選んでもらいたい」

―日本では40歳以上の女性が2年に一度、乳がん検診を受けることを定めています。

「現状の指針に沿って、30―40%の受診率を高めることが重要だ。当社の装置を通じ、受診者の意識も啓発していきたい。受診者自らが検診の時期を覚えていて、進んで検査を受けてもらいたい」
日刊工業新聞2017年10月31日
村上毅
村上毅 Murakami Tsuyoshi 編集局ニュースセンター デスク
乳がんは早期発見・早期治療をすれば生存率が高い病気だ。だが、痛みや不安が“壁”となり、検査が敬遠されがちだった。特に日本の女性は高濃度乳腺の乳房が多く、検査が欧米人に比べて痛いという指摘もある。検査を受ける女性の声を製品に反映することで能動的に検査を受ける動機付けにもつなげたい。

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