清水建設がトンネル工事の最難関区を突破した前例のない施工法
熊本・二重峠で最先端の地盤補強技術を活用
清水建設は熊本地震の復旧災害事業に指定されている二重峠トンネル工事(熊本県大津町)の最難関区間で、トンネル周囲の地盤を安定させ、道路の沈下を抑制する工法を適用した。幹線道路が通過する地面から浅い位置での掘削のため、最先端の地盤補強技術を活用。国内でもほとんど例のない施工を行い、最難関区間を突破した。2020年5月末のトンネル完成を目指し、施工を加速する方針だ。
二重峠トンネルは、熊本地震による大規模な斜面崩壊で、通行不能となった国道57号の代わりに新設する「北側復旧ルート(約13キロメートル)」の一部。清水建設は福田組などと共同企業体(JV)を組んで施工している。長さは3659メートル。清水JVが1659メートルを掘削、残りは他のJVが手がける。断面積106平方メートル、幅12メートルの大きさだ。
最大の工事の難所は、国道57号の代替ルート、県道北外輪山大津線(通称・ミルクロード)の地面下。ミルクロード下を横切って掘削するが、地面からトンネル頂部まで9メートルしかなく地盤が不安定。トンネル工事により、ミルクロードが陥没して不通になれば、地域交通に大きな支障が出る。現場を指揮する清水建設の金岡幹所長は「絶対に影響が出ないように慎重に行った」と話す。
このため5メートル掘進するごと、掘削面の上部から長さ12・5メートル、直径約11センチメートルの鋼管を8度の角度で打ち込み、鋼管に薬液を注入して地盤改良する工法を適用した。鋼管は二重に重なる長さで打ち込むため、薬液と合わせて地盤を補強できる。
掘り進むには鋼管の下部が邪魔になるため、下部だけを抜き取れる鋼管を採用した。通常は鋼管を破壊するが「破壊の振動で地盤沈下する可能性がある」(金岡氏)と採用を避けた。
地表面の影響を調べるため数十地点を細かく測定し、慎重に作業を進めた。これらの取り組みで、計画当初は道路交通に影響のない3センチメートルの地表面の沈下を想定していたが、2センチメートル以内に収まった。
金岡所長は「地面まで9メートルしかない場所で、断面積が100平方メートル以上、掘削幅が15メートルといった大きなトンネル工事で、これらの工法の適用は聞いたことがない」と強調する。
(文=村山茂樹)
二重峠トンネルは、熊本地震による大規模な斜面崩壊で、通行不能となった国道57号の代わりに新設する「北側復旧ルート(約13キロメートル)」の一部。清水建設は福田組などと共同企業体(JV)を組んで施工している。長さは3659メートル。清水JVが1659メートルを掘削、残りは他のJVが手がける。断面積106平方メートル、幅12メートルの大きさだ。
最大の工事の難所は、国道57号の代替ルート、県道北外輪山大津線(通称・ミルクロード)の地面下。ミルクロード下を横切って掘削するが、地面からトンネル頂部まで9メートルしかなく地盤が不安定。トンネル工事により、ミルクロードが陥没して不通になれば、地域交通に大きな支障が出る。現場を指揮する清水建設の金岡幹所長は「絶対に影響が出ないように慎重に行った」と話す。
このため5メートル掘進するごと、掘削面の上部から長さ12・5メートル、直径約11センチメートルの鋼管を8度の角度で打ち込み、鋼管に薬液を注入して地盤改良する工法を適用した。鋼管は二重に重なる長さで打ち込むため、薬液と合わせて地盤を補強できる。
掘り進むには鋼管の下部が邪魔になるため、下部だけを抜き取れる鋼管を採用した。通常は鋼管を破壊するが「破壊の振動で地盤沈下する可能性がある」(金岡氏)と採用を避けた。
地表面の影響を調べるため数十地点を細かく測定し、慎重に作業を進めた。これらの取り組みで、計画当初は道路交通に影響のない3センチメートルの地表面の沈下を想定していたが、2センチメートル以内に収まった。
金岡所長は「地面まで9メートルしかない場所で、断面積が100平方メートル以上、掘削幅が15メートルといった大きなトンネル工事で、これらの工法の適用は聞いたことがない」と強調する。
(文=村山茂樹)