東芝、上場維持に残るハードル。緊急的な資本増強の可能性も

「特注銘柄」解除も、独禁法審査が長期化の恐れ

 東京証券取引所は11日、東芝株を12日付で「特設注意市場(特注)銘柄」から解除すると発表した。東芝が東証に提出した再発防止策や聞き取り調査などを踏まえ、内部管理体制が改善したと判断した。今回の結果で内部管理体制不備に伴う上場廃止リスクは解消されることになる。

 東芝は2015年の不適切会計問題の発覚を受け、同年9月から内部管理体制に問題のある特注銘柄に指定されていた。

 日本取引所グループ傘下の自主規制法人は17年3月に再提出された内部管理体制の確認書をもとに、社内外の役職員への調査の結果、内部管理体制には一定の改善があったと判断した。

 ただ、同法人の佐藤隆文理事長は会見で「東芝はあくまで上場維持に必要な最低限の内部管理体制の水準に達したに過ぎない」とクギを刺した。

 その上で「18年3月末時点で債務超過状態が解消されない場合は今回の特注解除の結果にかかわらず、上場廃止となる」と強調した。東証の発表を受け東芝は、「今後も内部管理体制の一層の改善とその定着を図る」とのコメントを公表した。

「審査に8―9カ月ぐらいかかる」


 東京証券取引所が、東芝株の「特設注意市場銘柄」指定を解除し、東芝をめぐる上場廃止リスクの一つが解消された。残るハードルは、上場廃止基準に抵触する2期連続の債務超過を回避できるかどうか。東芝は半導体子会社「東芝メモリ」を2018年3月末までに売却して資金調達し、債務超過から脱する考え。しかし、各国の独占禁止法審査の長期化で、期限に間に合わない懸念がある。

 東芝は米原子力発電事業に関連して巨額損失を計上し、17年3月期末に債務超過に陥った。この状態から脱するため、東芝メモリを18年3月末までに2兆円で売却。株主資本で7400億円の押し上げ効果を見込み、プラス2000億円規模まで回復させたい考えだ。

 東芝が東芝メモリ売却で、米ファンドのベインキャピタルや韓国SKハイニックスなどが参加する「日米韓連合」と最終契約したのは9月28日。売却完了には各国の独占禁止法の審査にパスすることが必要で、18年3月末の期限まで6カ月と時間的猶予はない。

 特に中国は自国での半導体産業の振興を図っており、当局の対応が注目される。東芝メモリへのSKハイニックスの関与は議決権で15%以下に抑えたが、「審査に8―9カ月ぐらいかかる可能性がある」と業界関係者は指摘する。

半導体メモリー生産、1100億円追加投資


 東芝は11日、半導体メモリーを生産する四日市工場(三重県四日市市)で建設中の「第6製造棟」について、追加で約1100億円の生産設備投資を行うと発表した。2017年度の第6製造棟への投資は計3050億円になる。先進の3次元(3D)NAND型フラッシュメモリーの需要が拡大しており積極投資に動く。一方、提携先の米ウエスタンデジタル(WD)傘下の米サンディスクの投資参加については協議中という。

 東芝の半導体子会社「東芝メモリ」が第6製造棟に投資する。費用計上は18年度以降になるため、東芝の17年度連結決算見通しに変更はないという。

 追加投資の約1100億円のうち700億円は18年度計画から前倒しする。第6製造棟は18年夏の完成予定。17年度の半導体・デバイス部門全体の投資額は過去最高の4000億円となる。

 東芝はWDと投資の考え方が一致しなかったとして、第6製造棟に単独投資することを8月に決めた。東芝はいずれ共同投資に移行することも想定しているが、今回の追加投資決定でWDの反発が強まる可能性がある。

日刊工業新聞2017年10月12日

明 豊

明 豊
10月12日
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審査が長引けば上場廃止となるが、それは何としても避けたいだろう。信用力が重要な要素である社会インフラ事業などに悪影響が出て、経営再建が頓挫するリスクも高まる。主要取引行などのサポートを受け、審査が終わるまでのつなぎで、緊急的な資本増強を行うなどの対応が必要になる可能性がある。

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