哨戒機「P-1」や輸送機「C-2」の購入に興味を持っている国

川崎重工業・金花芳則社長インタビュー「政府間の協議を見守りたい」

 「設備投資も増えてきているし、下期、来期と徐々に上がっていくだろう。特に中国の建設機械需要の回復が追い風だ。当社は大型建機向けの油圧機器を手がけるが、高水準で推移している。中国は2010年頃に建機バブルがはじけ、受注残の山となった。その再来が懸案だが、前回とは異なるようだ。メーカーは実需を見ながら適正な水準で生産している」

 ―為替水準は。
 「社内的には各事業部に対して、1ドル=100円でROIC(投下資本利益率)8%の目標を設定している。受注型事業では為替が動いたときに補正してもらう為替条項で対応、中量産品については部品の現地調達化を進めてきた。為替が振れても、100円で利益を出せる体質への転換を図っている」

 ―4―6月期の受注高は前年同期比5・4%増の2725億円となるなど、受注は好調です。
 「足元の受注環境は堅調で、昨年より増えていくだろう。鉄道車両はバングラデシュで都市交通向け鉄道車両144両を受注した。今後もアジアの円借款案件が間違いなく拡大する。産業用ロボットも中国を中心に全地域でまんべんなく良い」

 ―ロボットは製造業向けに加え、他分野への用途開拓を加速してます。
 「医療ロボットは大化けするかもしれない。手術支援ロボットを開発してきたが、完成にめどがついた。19年の市場投入を目指す。同分野では『ダヴィンチ』が先行するが、医者からはダヴィンチより優れた評価を得ている」

 ―防衛省向け事業の状況は。
「当社が手がける潜水艦や『P―1』対潜哨戒機、『C―2』輸送機などで、さらなる増強となれば期待できる。装備品の輸出については、工場の稼働率を維持する上でも、有効な策となる。アラブ首長国連邦(UAE)やニュージーランドが、P―1やC―2に興味を持っている。政府間の協議を見守りたい」
「装備品の輸出は、工場の稼働率維持でも有効策」と金花社長

(聞き手=長塚崇寛)

日刊工業新聞2017年9月28日

長塚 崇寛

長塚 崇寛
10月01日
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ロボットや油圧機器を手がける精密機械カンパニーは川重の4番打者となるポテンシャルを持つ。懸案だった造船事業も中国シフトの構造改革を発表した。一方、ここ数年の成長エンジンだった航空機関連事業は、主力の米ボーイング向け大型機の成長鈍化で、停滞気味だ。ボーイングが画策している次世代中小型機でどれだけ存在感を発揮できるかが、航空機事業の将来を左右しそうだ。

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