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富士通がPC、スマホの次に切り離す事業

サーバーの切り出しもあり得る。デジタル革新で新たな価値つくる
富士通がPC、スマホの次に切り離す事業

田中達也社長(富士通ジャーナルより)

 富士通がパソコンに続き、携帯電話事業も売却する方向で調整を進めている。ハードウエア事業を連結から外し、ソフト・サービス事業に経営資源を集中する。田中達也社長が「ビジネスの質と形を変える」を旗印に指揮する富士通の全社改革の新しい段階だ。

 連結営業利益率を10%以上へ―。田中社長はこれを在任中の目標に掲げている。連結営業利益率は2016年度実績が2・9%。17年度は4・5%の見込み。事業構造改革をさらに推し進めることで、18年度には「営業利益率6%ゾーン」の達成を公約している。

 同社はパソコンで国内シェア2位、携帯電話で国内シェア5位だが、世界市場での存在感はない。パソコン・携帯電話事業の売上高は12年3月期の8895億円から、17年3月期は6116億円まで縮小した。

 現時点で黒字だが収益面ではぎりぎりで、経営の重荷となっている。パソコン、携帯電話ともに一般消費者向けの看板製品であり、同社では事業の切り離しにあたって富士通ブランドを維持できる協業の枠組みを模索している。

 だが、交渉時間は無限ではない。中国レノボと統合交渉を進めるパソコン事業についてはすでに待ったなしの状況にあり、塚野英博富士通副社長は「国内だけなら(単独でも)延命できるが、時間は有限だ。(最終合意は)そう遠くはない」と覚悟をにじませる。

 ハードウエアを切り離す富士通が注力するソフト・サービス事業も例外ではない。米IBMは05年にパソコン事業をレノボに売却、14年にはパソコンサーバー事業までも売却した。

 その決断を下したIBMシステムズ担当のトム・ロザミリヤ上席副社長は「コモディティー化した事業は、その分野で最大手になれなければもうからず、意味がない。当社は成長に向けてソフト・サービス事業を意図して選び、投資を集中した」という。

日刊工業新聞2017年8月29日の記事から抜粋



「富士通フォーラム2017」で田中社長が語ったこと


 今、テクノロジーが世の中を大きく変えています。私は、デジタルがもたらした一番大きな恩恵は『つながる』ことであると考えています。組織の違い、業種の壁、あるいは物理的な距離といったものをすべて乗り越えて、データや知恵がつながる。それが、これまでにない新しいものを生み出すベースとなり、社会の仕組みさえも変えてしまう可能性を持っています。

 私たちは、『Digital Co-creation』を追求することで皆様のビジネスの成長に貢献したいと考え、富士通が目指す3つのことをお話しします。

 まず1つ目は、富士通はテクノロジーで社会に貢献するということ。技術の内容は、時代の変化とともに変遷していきます。しかし、テクノロジーをコアとして持ち続けることは富士通のDNAであり決して変わりません。これからのデジタル時代においても、革新的な技術開発を続けていきます。

 2つ目は、より良いプラットフォームの追求。研究開発の成果を活かして、最先端の機能をビジネスの基盤としてお届けします。世界中の優れたパートナー様とも連携し、つながるプラットフォームとセキュリティを提供していきます。

 3つ目が、富士通自身がコラボレーションに参画し、貢献していきたいということ。富士通は、これまで多くのお客様と一緒にシステムを構築・運用し幅広い業種のシステムに関するノウハウを蓄積してきました。このノウハウを活用し、皆様のパートナーの一員に加えていただけるような存在を目指していきたいと考えています。

 私たちは、デジタル革新を最大限生かし、皆様とともに新たな価値をつくりだしたいと考えています。それは『Shaping tomorrow with you』という私たちのブランドプロミスそのものでもあります。これからも専門力を磨き、実践力のある人材を育成することによって、お客様のかけがえのないパートナーとして貢献していきます。
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
富士通にとってパソコンや携帯電話の切り離しは大きな決断だが、改革の一里塚でしかない。将来はパソコンサーバーの切り出しもあり得る。主戦場の国内市場が頭打ちの中で、成長の軸とするソフト・サービス事業のグローバル展開を成功させなければ展望は開けない。 (日刊工業新聞第一産業部・斉藤実)

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