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小売りの反応うかがい、食品の賞味期限延長じわり広がる

ヤクルトや味の素AGFなど。「製造年月日」を確認する傾向は根強く
 食品メーカーに、商品の賞味期限を延長する動きが広がっている。ヤクルト本社は17日、ヨーグルト「ソフールLT」「同ストロベリー」の賞味期限を製造18日後から21日後に延長すると発表した。味の素AGF(東京都渋谷区、品田英明社長、)も家庭用製品の約9割の賞味期限表示を、2017年度中に年月日から年月に切り替える考えだ。フードロス削減や物流部門効率化ニーズを背景に、動きはさらに広がりそうだ。

 ヤクルト本社の賞味期限延長は「数年以前から検討していた」(同社)。社内実験で18日を過ぎても味、品質に問題がないことを確認し、決断した。

 他の日配商品でも検討する考えだ。味の素AGFの賞味期限年月表示は、親会社である味の素に続く取り組み。店舗や倉庫の管理対象ロット数減少や保管スペース削減が期待できる。

 飲料メーカーでもキリンビバレッジなどが一部商品で年月表示変更を実施している。ただ、店頭で消費者が製造年月日を確認する傾向は根強く、実行には小売店側の理解と協力が不可欠になる。

日刊工業新聞2017年8月18日



賞味期限が月単位になると、食品ロスが減る?


 流通システム開発センターと流通経済研究所が主催する製・配・販連携協議会は、加工食品の賞味期限の月表示への変更や、製造から賞味期限までの期間の最初の3分の1までに納品する“3分の1ルール”を見直す指針を決めた。国全体で年間632万トン(2015年度)とされる膨大な食品ロスの削減が狙いだ。

 食品メーカーが一番心配するのは、店頭での消費者の反応。同じ種類の加工食品が店頭に並んだ際、月表示を採用したA社の賞味期限が「8月」、採用していないB社が「8月9日」となれば、混乱を招きかねない。「業界で1社が単独でやるのは難しく、小売り側も了解の上で全社がそろって行うことが不可欠」という声が多い。

 また、ある加工食品大手は賞味期限が月単位になると、かえって廃棄ロスが増えるのではと心配する。賞味期限が7月21日の場合、現在はそのまま表示できるのが、「6月」と逆に短縮されるためだ。「7月」と表示できるのは、実際には7月31日から8月30日まで。短縮されて賞味期限が実質的に早まる影響を危惧する。

 こうした中、キユーピーは3月から新たな技術導入でマヨネーズ商品の大半の賞味期限を10カ月から12カ月に延長。キリンビールも長期保存を前提とするミネラルウオーターの大容量サイズなどは小売り側と協議の上、日単位から月表示に切り替えるなど個別メーカーの取り組みも進む。

 3分の1ルールや日単位表示の変更は「実は小売り側にもメリットは大きい」(食品メーカー)との指摘もある。月表示になれば店頭の陳列棚で、賞味期限の近い商品を先頭に出すといった作業が軽減される。「この入れ替えの人手を減らすだけでも相当な人員・時間の削減効果があるはず」(同)という。

日刊工業新聞2016年7月21日

明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役ブランドコミュニケーション担当
メーカーや小売業が協調して取り組まないと廃棄ロスの削減はなかなか進まない。特に影響力の大きいコンビニの動きがカギか。

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