今、"農業女子"がなぜうけるのか

リケジョやドボジョに続く注目女子。市場活性化へ新しい発想や手法に期待高く

井関農機の農業女子トラクター(同社ホームページより)

**フマキラー、女性向け園芸製品を共同開発 日刊工業新聞2015年10月15日付  フマキラーは14日、農林水産省が進める”農業女子プロジェクト“に参画して女性向け園芸製品を共同開発すると発表した。30人で「素敵・未来・ガーデンプロジェクト」を組織して製品を開発。家庭用園芸用品と虫よけ剤を2017年春に発売する。大下一明社長は「女性がもっと農業に参画できるよう製品で後押ししたい」と強調。農水省就農・女性課の佐藤一絵女性活躍推進室長も「女性の知恵が生きた製品が普及し、農業に興味を持つ人が増えるとうれしい」と期待した。 日刊工業新聞2015年8月24日付  女性が操縦しやすいトラクターが登場。井関農機は女性農作業者の不満や悩みを聞き取り、対策機能を盛り込んだ15・8馬力のトラクター「しろプチ」を9―11月に発売する。  農機の操縦者は男性が多く、男性が扱う前提で設計されており、女性には扱いづらかった。農業人口全体が減る中、若い女性の就農促進が求められている。しろプチは女性という農機の新市場開拓を担う戦略製品だ。  しろプチは井関農機製品の通常カラーの青ではない白い機体と、操縦席を覆うサンバイザーが人目を引く。サンバイザーは作業中の日焼けを防ぐために設置しており、ほかにも女性の視点が随所に反映されている。  多く施されているのが男性と女性の体格差を補う工夫だ。男性よりも小柄で乗り降りしづらいのを考慮し、両手でつかめるグリップと足元のステップを設置した。操縦席からハンドルやペダルに手足が届かないという意見を受け、体格に合わせてシートを前後に調整できるようにした。長時間の作業でも疲れにくい。  井関農機は農林水産省の企画「農業女子プロジェクト」に参加しており、メンバーの若手女性農業者に農機への意見の聞き取り、試作機の評価などで協力してもらった。木村典之社長は「女性の視点、感性は目からうろこで、カルチャーショックの連続だった」と意義を説く。  農業従事者の約半分は女性で、人数自体は多い。だが農機の操縦者は男性が中心で、女性は少なかった。自然と男性が扱う前提で設計することになり、その分女性が操縦しづらくなっていた。  農業従事者の高齢化が進み、若者の就農を増やすことが農業活性化に不可欠になっている。特に男性に比べて少ない女性の就農を促すことが重要だ。  しろプチは農業の次代を担う存在と期待される”農業女子“の心をつかめるか。一見すると話題性重視に見えるが、農業の将来を視野に入れた長期戦略に基づいている製品だ。 日刊工業新聞2015年7月15日記事を一部修正  シャープは頑固な泥や黄ばみ、皮脂汚れを落とせるプラズマクラスター洗濯乾燥機2機種を、8月27日に発売した。温風で温めてから水滴を勢いよく吹き付ける「マイクロ高圧洗浄」で、洗浄力を高めた。農林水産省が進める「農業女子プロジェクト」と連携し、農作業時の汚れを分析して洗い方を改良した。価格は通常機種が23万円前後(消費税抜き)など。月産5000台を見込む。  新たに「極め洗いコース」を搭載した。約40度Cの温風で汚れを浮かした後、標準コース比約4倍の量となる毎秒100万個以上の水滴を勢いよく当てて、繊維の奥の汚れを弾き出す。また他の衣類とは一緒に洗えないほど汚れた衣類だけを約5分間、洗剤なしで予洗いする機能も搭載。  会見したシャープの水嶋繁光会長は「農業女子との連携で洗浄力を高められた。引き続きプロジェクトに参画し、新たな家電の可能性を追求したい」と力を込めた。 日刊工業新聞2014年10月22日「社説」  理系の女性(リケジョ)や、建設現場で活躍する女性(土木系女子=ドボジョ)などと並んで“農業女子”が注目されている。わが国の農業従事者の半数は女性。女性の活躍は、高齢化と後継者不足に悩む国内農業がこの先、存続していくために重要な意味を持つ。  こうした中で、農林水産省が2013年11月に立ち上げた「農業女子プロジェクト」の参加企業が徐々に増えている。企業の取り組みが、農業に新しい市場と可能性をもたらすことを期待したい。  同プロジェクト参加企業は13社。井関農機やサカタのタネなど、一見して農業関係と分かる企業ばかりではない。ダイハツ工業やコーセー、三越伊勢丹ホールディングス、エイチ・アイ・エス、タニタ(東京都板橋区)、東急ハンズ(東京都新宿区)、レンタルのニッケン(東京都千代田区、三菱商事系)、日本サブウェイ(東京都港区、サントリー系)など多彩だ。  農業現場の女性の視点として企業が求めているのは、ファッション性や働きやすさ、食品素材の安心・安全やヘルシー性など。女性目線の農業用軽トラックや仮設トイレ、日焼け止めの化粧品など多くの分野で商品開発が進んでいる。女性を対象にした商品開発や市場戦略は今に始まったことではないが、農業女子にこだわることで企業にとっての新たな市場が生まれるのではないか。  若い人が農業に魅力を感じない理由の一つが「泥で汚れる」、「服装がファッショナブルでなくてかっこ悪い」というものだった。ユーザーの不満は、そのまま製品開発ニーズになる。農業で働く女性の視点を取り入れて製品開発することは、自社商品の市場を広げることに直結する。コーセーの場合、自社の化粧品ブランドのサイトに農業女子を登場させたり、化粧品を農業女子に使ってもらい感想を聞いたりして、新たな商品開発に生かす考えだ。  また流通やサービス分野の企業は、農業が持つ“自然とのふれあい”や“ヘルシー”、“新鮮食材”などの好イメージを商品販売に結びつけることを狙っている。自然野菜を使った限定メニューや、農業体験の宿泊プランなどが生まれている。日本の農業を間近で見たい外国人観光客などの需要も見込めるかも知れない。  農業従事者の半数は女性だが、平均年齢は66歳を超えており世代交代が急務だ。若者や女性に魅力が感じられなければ、政府がどんなに支援策を講じようとも農業の衰退は避けられない。ITの活用や植物工場などで企業の力を生かすのも一つの方法だが、農業女子というキーワードで市場を活性化するのも大いに意味がある。

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