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【新型コロナ】「繊維のまち」の力感じて!…大阪・泉大津がマスクプロジェクト

大阪府泉大津市と泉大津商工会議所は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴うマスク不足の状況を改善しようと、「泉大津産」のマスクを製造、販売する「泉大津マスクプロジェクト」を始めた。地域の繊維メーカー6社や小売店が協力。洗って再び使える布製などのマスクの販売を泉大津市内の店舗などで始めた。

マスクを製造するのは大津毛織(大阪府泉大津市)、カスガアパレル(同)、SASAWASHI(同)、瀧芳(同)、日の出毛織(同)、岸部毛織(大阪府和泉市)の6社。衣類の生産工程の廃材を再利用したマスクやシルク100%のマスクなど各社の個性を生かし異なるマスクをつくった。価格は1枚消費税込み480円、1980円などまちまちだ。

毛布やニット製品をはじめとする「繊維のまち」だからできることとしてプロジェクトを始めた。南出賢一泉大津市長はマスク不足の現状に対し「知恵を出し合って解決したいと(同会議所の)会頭と話し合い、決定した」とし、同会議所の臼谷喜世彦会頭は「地元企業がつくったマスクを通して『繊維のまち』の力を感じてもらいたい」としている。

出典:日刊工業新聞2020年3月31日

■ウールの産地でも 

出典:日刊工業新聞2020年3月25日

尾州産のマスクはいかがですか―。愛知県一宮市を中心に広がるウールの産地「尾州」で今、新型コロナウイルス感染症拡大によるマスク不足を受けて、生地の特徴を生かしたマスクやマスクの手作りキットを生産、販売する動きが出てきた。一方で宮田毛織工業(愛知県一宮市)は、生地の無償提供を数量限定で実施。供給不足状態にあるマスクを少しでも補填するため、「繊維のまち」が立ち上がった。(取材=名古屋・浜田ひかる)

長谷川商店(愛知県一宮市)では16日から、マスクの店頭特設スペースを開設。自社技術を生かしたシルクマスクや自主制作キット3種類を販売する。売れ行きは好調で、「1日で300枚は販売」(担当者)した。自社サイトでも販売するが、「すぐに品切れになる」(同)状態だ。

長谷川商店の「おでかけシルクマスク」

中でも注目を集める商品は、長谷川勝社長自らが考案した「おでかけシルクマスク」。耳部分までシルク生地で、付け心地がいいと評価は高い。ウイルスや花粉の侵入をブロックする効果はないが、「せきエチケットでマスクが必要な時代。マスク不足に多少でも貢献できれば」(同)と数日で開発した。

丸安ニット(名古屋市西区)は、綿100%リバーシブルジャーガード「maffon(マフォン)」のマスクキットを2月下旬から販売。肌触りが良く、今までは子ども服用の生地用途が中心だった。「マスク用カットクロスセット」はマスク用ニット生地3枚と、当て布用のオーガニックコットン生地1枚のセット。2月下旬から自社サイトで販売を開始し、「2週間で250セット売れた」(担当者)。生地の売れ行きも、通常の5―6倍という。

また美濃和紙からよった糸で編んだ「siffon(シフォン)」でも、3月中にマスクの商品化を模索する。和紙は抗菌作用や脱臭効果が認められており、「まずは当て布からはじめる」(伊藤安則社長)という。

一宮を拠点に活動する縫製グループkagariでは、3月上旬から2―3日に1回、30―50枚の手作りマスクを名鉄百貨店一宮店(愛知県一宮市)に納品。「つくってもつくっても、注文がやまない」(宮本純子代表)状態が続いているという。同百貨店のマスク特設販売スペースで販売している。

一方で宮田毛織工業は19日、1日限定でマスクのサンプルと生地、型紙を無償で35セット配布。佐竹一徳企画室室長は、「社会貢献の一環。他のニットメーカーにもまねしてほしい」と「無償の輪」拡大を望む。状況次第で、2回目の開催も検討する。

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