トヨタ陣営拡大の余波、マツダやスバルのサプライヤーに訪れる試練

連載・車部品の新たなカタチ♯6

トヨタ紡織とAKI USAの幹部

マツダにSUBARU(スバル)、スズキと、業務資本提携の輪を広げてきたトヨタ自動車。提携相手の3社はそれぞれ広島県、群馬県、静岡県に広範な取引先基盤を抱える。今後、完成車メーカー同士の関係がより強くなれば、トヨタ系の強力なサプライヤーに、3社の地元取引先が飲み込まれる日が来ないとも限らない。「CASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)」の大波よりも、衝撃度は大きいかもしれない。 「米国アラバマ州で、2021年の稼働に向けて、トヨタとマツダが共同出資する自動車工場の建設が着々と進む。相対的に規模の小さい企業が多いマツダ系サプライヤー。海外進出への負担を分散させるために、“ケイレツ”を超えた提携の動きが進んだ。  マツダ系シートメーカーのデルタ工業(広島県府中町)、東洋シート(広島県海田町)がトヨタ紡織と、マツダ系プレス部品メーカーのワイテック(同)、キーレックス(同)が豊田鉄工(愛知県豊田市)と、それぞれ共同での進出を決めたのだ。いずれも、いったんマツダ系2社で合弁会社を作り、そこがトヨタ系と共同出資する形だ。 「(マツダだけで)年間15万台の生産能力では、採算を取るのはなかなか難しい」。広島のサプライヤーは軒並み口をそろえる。トヨタ系サプライヤーと組むことでトヨタのラインへの部品供給も可能になれば、部品需要は年間30万台に倍増し、経営基盤も強まる。 マツダ系サプライヤーはこれまでの歴史の中で、大手サプライヤーへの集約と一次取引先の選別が進んだ。残っている大手サプライヤーは、ドアのヒロテック(広島市佐伯区)、インスツルメントパネルのダイキョーニシカワ、ロアブロックの広島アルミニウム工業(広島市西区)といった具合に、主要部品を単独供給するパターンが多い。他の自動車生産地から離れ、輸送コストがかかる広島にあって、マツダを中心とした強固な自動車生産体制を確立してきた。 ところが海外では、広島と同じようにはいかない。地元以外の部品メーカーが割って入る余地が出てくる。アラバマでの3社出資はその好例。現地生産するクルマの世代交代が進んでいけば、海外発でさらにケイレツを超えた動きが出てくる可能性がある。 かたやスバル。トヨタとの資本関係強化は、現在のところCASE領域が中心。水平対向エンジンに代表される、個性ある車作りは今後も進める考えだ。部品を供給する取引企業は8000社以上にのぼり、中堅中小企業を含めスバルの独自の車作りを支援してきた。ムラコシ精工(東京都小金井市)は長年にわたり自動車用ブレーキ部品「ブリーダースクリュー」を製造。スバルのほかトヨタグループにも供給するが資本関係の変化による今後の調達方針の影響を注視する。 別のスバル系主要サプライヤーの幹部は「スバルは電動化など新しい技術への課題を抱える。関係を緊密にして車作りの本質的な部分に取り組みつつ、次世代に対応する車作りに向かってほしい」とトヨタとの関係強化に理解を示す。だが完成車メーカーの合従連衡がケイレツに変革を迫っているのは間違いない。

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