島津製作所“中国のシリコンバレー”の勢い取り込む

拠点整備が完了

島津製作所が移転増強した広州事務所

 島津製作所が北京市、上海市に次ぐ中国第3の都市、広東省広州市の拠点を移転増強した。地域ごとで異なる特色を捉え、きめ細かな対応をすべく、中国各地で進めた拠点整備がおおむね完了したことになる。広州は“中国のシリコンバレー”と称される同深圳市に近く、研究投資も活発。開放・革新的な気質を持つ広州を起点に深圳のスタートアップ企業の勢いも取り込み、中国事業のさらなる成長を狙う。(京都・松中康雄)  島津製作所の2018年度海外売上高は2000億円弱で中国事業はこのうち4割を占める。米中貿易摩擦による経済成長鈍化が懸念材料だが、中国政府は「成長率」より「成長の質」を重視し、大学・科研、医療、環境、ハイテク分野で投資を継続。これら研究開発向けで分析計測機器の需要が高まっており、島津は22年度に中国事業を売上高1000億円規模(18年度比4割増)に引き上げる考えだ。  営業、技術・サービスなど約200人が在籍する広州事務所の新拠点の周囲は大学・企業の集積地。化学、先端素材、製薬、医療、環境、農業分野などを扱う現地大学、研究機関では同社のハイエンド分析装置が忙しく稼働する。過去になかった光景で、研究投資が盛んな表れと言える。  現地を訪れた上田輝久社長は「いろいろなアイデアを持った先生方が島津の分析装置を使ってくれている」と手応えを口にする。新拠点は顧客の技術支援や新分析手法開発、受託分析も行う分析センターのエリアを従来比約3倍に拡張。最新の分析計測関連機器を多数配置しており、顧客とのシナジー創出を期待する。  分析機器と医用画像診断機器の融合で、診察や治療を高度化するアドバンスト・ヘルスケアと呼ぶ取り組みでも、広州起点のイノベーションを模索。近くの深圳市は人工知能(AI)による画像診断を推進する医療特区でもある。医用や分析機器で得られたデータを読み取るには多様な知識が必要で、ある程度の判断をAIで補完するシステム開発などを想定している。  すでに複数のスタートアップ企業と接触済み。深圳が持つイノベーションの力を取り込めるかは、島津グループ全体の成長のカギも握りそうだ。  広州新事務所はセミナーや技術交流会が開ける120人収容の大会議室を持ち、機器トレーニングルームは従来より充実させた。オフィスは中国で珍しいフリーアドレス式を採用。作業に集中できる空間、簡単な打ち合わせ空間など多数配置し、柔軟な働き方を後押しするモデル拠点としての役割も担う。

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