増税分を「下請けに押し付け」にご用心!“転嫁Gメン”奔走

「社内全体で集まり周知徹底を」と厳しく対応を求める転嫁Gメンら

 10月の消費増税で初めて軽減税率が導入されるため、レジでの精算だけでなく、企業間取引でも混乱が予想される。年度途中の税制改正であるため、下請け企業に増税分を負担させる買いたたきも懸念されており、特に交渉力の弱いフリーランス、個人事業者は、発注企業による転嫁逃れの犠牲になりやすい。一方、複雑な軽減税率に十分な対応ができず、本業以外で買いたたきを犯し、気が付かないうちに“ブラック企業”となってしまう可能性もある。“転嫁Gメン”は周知活動に奔走している。(編集委員・山下哲二)  今回の消費増税は、「8%と10%、内税と外税が混在し、これまで以上に大変な調査になる」(転嫁Gメン)と話す。  前回の消費増税を控えた2013年10月に「消費税転嫁対策特別措置法」が施行されたのを機に、増税分の下請け企業への押しつけを防止するため転嫁Gメンが誕生した。人員は現在、経済産業省・中小企業庁の所属が474人、公正取引委員会の所属が100人余り。6月末までの調査実績は1万1577件で、企業庁が取引の改善を求める「指導」が4830件、公取により悪質とされ社名が公表される「勧告」は50件で有名企業の名も連なる。企業庁が毎年行う600万社以上の書面アンケートで、違反事例を探る。  9月上旬、東京都内にある従業員約130人の食品販社を調査した。今回の消費増税で、消費税が2%引き上げられ10%となるが、食料品などは8%に据え置かれる。「一律の引き上げでないので、これまで以上に説明が長くなった」(転嫁Gメン)と話す。調査は通常の2倍の1時間半。特に本業以外の駐車場などの賃借など不動産契約に注意が必要だ。駐車場の整備方法などにより消費税法の対象になるため、料金を据え置けば知らぬ間に買いたたきとなってしまう。  調査ではGメンの説明に対し企業側が、「何か対策を打たねばならない」と曖昧に回答したのに対し、ベテランGメンが「社内全体で集まる機会を持ち、周知徹底するべきだ」と厳しく対応を求める場面もあった。「説明すればわかる企業も多くPR不足が買いたたきの主因だ」と打ち明ける。  一方で、悪質な業者も後を絶たない。特にフリーランスとの取引の多い出版、建築、イベント業界で買いたたきが顕著だという。原稿料や司会料の支払いは多くが内税であるため、増税分の負担はない。企業も予算が決められるため容易に値上げには応じられないという。ただ、軽減税率が導入されたことで、「その複雑さから故意に買いたたきをするケースが増えるかもしれない」と警戒する。  また、同特措法の盲点は21年3月末までの時限立法。十分な説明、取り締まりができるのかも疑問になる。

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