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買わなくなったパーティードレス、「共有経済」がアパレル業者を倒産に追い込む

ミレーヌ友田の事例は氷山の一角!?
 アパレル不況が続くなか、かつての有力ブランドが次々と姿を消している。ドレスブランド「セラヴィ」を展開していたミレーヌ友田は、2018年12月26日に破産手続き開始決定を受けた。

 同社は、1972年12月に東京都港区西麻布でアパレル業者として設立。20代女性をターゲットに、パーティードレスやフォーマルドレスを販売していた。

 創業当初の業績は好調で、渋谷区千駄ケ谷に本社ビルも建設した。ピーク時の業績は86年頃の年商18億円。一時は、直営店と百貨店のインショップを合わせて30店超を出店していた。

 しかし、不況による消費者意識の変化が進むにつれ、業績は落ち込んでいく。景気不況下でパーティーを催す機会が減ったほか、結婚式で披露宴を開催しないなど「ナシ婚」の風潮が進み、パーティードレスを着る機会が少なくなっていた。

 また、百貨店での販売が主力であったため、百貨店の集客力衰退も減収の要因となった。2006年には年商10億円を割り、16年には年商3億円未満まで業績が落ち込んでいた。

 減収に歯止めを掛けるべく、積極的な出店を図った時期もあったが、需要も無く、経費がかさむばかりだった。直近期決算である18年7月期には年売上高約7400万円を計上。ジリ貧の経営が続くなか、従業員や取引先に対する支払いが遅れるに至り、18年12月21日に自己破産を申請した。

 某業界関係者は、「パーティードレスは、買っても着る機会が少ない一方で、毎回同じドレスでパーティーに参加するのは気が引けるという声を聞く。フリマアプリやレンタルサービスを利用する人も増えてきているため、他の商材を扱うアパレル業者と比べて、より厳しい経営環境にあったのではないか」と、同社の倒産を振り返る。シェアビジネスの浸透が、アパレル関連企業の経営にも影響を及ぼし始めている。
(文=帝国データバンク情報部)
日刊工業新聞2019年2月26日

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