店舗過剰のコンビニ、それでも「24時間営業」が合理的なワケ

“装置産業”のメリット、デメリット天秤

夜間営業を止めると従業員の労働負荷を平準化できなくなる

 コンビニエンスストア業界はドラッグストアやネットなどとの競争で、事業環境は厳しい。一方で、この夏の豪雨や台風、地震などの自然災害では、コンビニの機動力があらためて注目を集めた。地域に密着した魅力的な小売店舗として、存在感を発揮するための取り組みは続く。  全国約5万5000店舗のうち9割超がセブン―イレブン、ファミリーマート、ローソンの3チェーン。カウンターコーヒー、スムージー、サラダチキン―。コンビニ業界ではヒット商品が出ると、他社が追随する流れが目立つ。「3社ともそれほど大きな違いはない。没個性的になっている」。ユニー・ファミリーマートホールディングス(HD)の高柳浩二社長はこう指摘する。  一方で高柳社長は「あと数年経つと、各社とも『こういうコンビニ』という個性が出てくるのではないか。すでに変わりつつある」と話す。ファミマにとって転機となったのは、17年のドンキホーテホールディングスとユニー・ファミマHDの資本業務提携だという。6月にドン・キホーテとの共同店舗の出店を始めた。「個店経営」を掲げるドン・キホーテの品ぞろえや運営方法を取り入れ、売り上げを伸ばしている。  ローソンは8月、介護と栄養に関する相談窓口や、調剤薬局を併設した店舗を都内に開いた。健康などに関するイベントスペースを設け、高齢者らの来店に結びつける。ネットでは難しい実店舗ならではの強みを生かす狙いだ。  一方で各社とも頭を悩ませているのが、人手不足だ。高柳ユニー・ファミマHD社長は「本当に深刻。流通業は一番厳しい業界かもしれない」と話す。時給の上昇に加え、社会保険の適用拡大や労務時間管理の厳格化で、セブン加盟店の人件費は6年間で約7%増えた。  コンビニは一部を除き、年中無休が原則だ。人手不足が深刻化する中、外食産業などでは深夜営業を見直す動きが出ている。しかし古屋一樹セブン―イレブン・ジャパン社長は「お客さまの利便性や、品出しなどの作業効率を考えると、24時間営業を止める発想はない」と明言する。  ユニー・ファミリーマートホールディングス社長・高柳浩二氏に聞く。  ―景気動向をどのように見ていますか。  「世の中全体の景気は悪くないように見える。ただ我々が扱っている食品などの消費増を期待できるかといえば、必ずしもそうではない」  「今年の夏は猛暑が追い風になった。当社に限らず、コンビニエンスストアも総合スーパーマーケットも飲料や冷菓などの売れ行きが良かった。しかし季節要因を除けば、『消費意欲が高くなっている』とは残念ながらいえない。消費者の節約志向は依然として強い。社員には『危機感を忘れないでほしい』と話している」  ―節約志向に加え、コンビニやスーパーを取り巻く競争環境は厳しさを増しています。  「“地上戦と空中戦”になっている。地上戦では、同業者やドラッグストア、ディスカウントストアとの競争が厳しい。価格競争になりがちで、物価はなかなか上がらない。(店舗が過剰に存在する)オーバーストアの状況では、地上戦は続く。ネット通販との空中戦もある」  ―ネット通販は脅威ですか。  「あなどってはいけないが、悲観はしていない。ネットでの買い物は『(必要なモノを手早く買うための)用事』の意味合いが強い。便利だが面白くない。我々は利便性を上げることで、さまざまなシーンでお客さまを呼ぶことができる。電子マネーを含め、これまで手がけてこなかった金融サービスについても、年内に公表したい。効率化だけではなく、『面白さ』というエッセンスも加えて生き残っていく」  ―コンビニの24時間営業の見直しについてはどう考えますか。  「夜間営業を止めると、品出しや掃除を昼間にすることになり、従業員の労働負荷を平準化できなくなる。現状では、24時間営業の方が合理的だ」  「コンビニは社会インフラになっている。地域ごとにセンターを持ち、一極集中ではないコンビニのビジネスモデルはBCP(事業継続計画)の観点からも有効だ」

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