灘の酒もサポーティングインダストリーが大切

剣菱酒造、酒造り道具の専門工場を新設

暖気だるなど木製道具などを内製(剣菱酒造公式フェイスブックより)

 剣菱酒造(神戸市東灘区、白樫政孝社長)は、酒造りに必要な木製道具などを自前で製造する専門工場を新設、2018年3月に稼働する。投資額は約5億円。自社で使う道具のメンテナンスや内製から始め、5年後をめどに外部の酒造会社やしょうゆメーカーなどにも販売する。外販の初年度目標は3000万円を目指す。  新工場は既存工場の浜蔵(神戸市東灘区)に隣接する。延べ床面積約1320平方メートルの2階建てで、1階は旋盤、集塵機を導入して甑(こしき)やたるを製造する。  2階は太いわら縄を編む機械を入れ、こも職人の作業場となる。道具を製造販売するにあたり、将来は職人1人を新規採用する。  10年前、暖気(だき)だる造りの職人が日本で1人しかいないことに危機感を覚え、自社でその職人を雇用。社員2人を職人の部下にし木工部を置いた。同社は500年続く酒蔵だが「酒の味や作り方は一度変えると二度と戻らない。レシピや設計図では引き継げない味わいや深みなどは、やり続けないと続かない」(白樫社長)との考えに従い、木製道具の工場新設に踏み切った。  酒造り工程で酵母を培養させるために使う「暖気だる」など木製道具の製造業者が減り、ステンレス製のもので代用する企業が多い。木製道具での酒造りにこだわる同社は、約400個の暖気だるを所有し、毎年メンテナンスが必要という。新工場ではこれに加え、年間で大おけ3個、暖気だる70個の生産を想定している。 日刊工業新聞2017年12月26日  創業500年以上を誇る歴史ある酒蔵を継いだ。「歴史・味・造り方・考え方・顧客の声など、私たちにしか伝えられないものを、後世に伝えるため力を尽くす」と決意を語る。  主力商品の『剣菱』は「しっかり寝かせた落ちついた味わい」が特徴。甘み・辛み・酸味などが複雑に絡み合いどんな料理もおいしくさせる。宣伝・営業はしない。  「流行は追わず、顧客からいただいたお代で変わらぬ味を守り、少しぜいたくなお酒を造る」家訓を最重視。そのため機械化に頼りきらず、道具を自社で手作りしているほどのこだわりだ。  休日は子どもを連れ遊園地や旅行に出かける。多忙で時間がとれないが、海岸で好きな音楽を聴きつつ、お酒と共に沈む夕日をゆっくり眺めたいと願う。 (神戸・大原佑美子) 日刊工業新聞2017年7月12日

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